第49話 携帯電話 | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第49話 携帯電話

携帯電話は当然、持ち込み禁止である。
しかしながら、多くの中学校で、そこそこの生徒が無断で持ってきていると思われる。

1組の女子生徒が己斐に話しかけてきた。
「山本くんが朝読書のとき、ずっと携帯電話をいじっていました。おまけに授業中もいじってます。」

己斐は自分からは積極的に生徒指導はしないが、生徒から訴えであれば別である。
生徒の訴えを無視すれば、保護者からクレームが来るからだ。

理科の授業中にいじっており、実験中には後ろで数名が囲んで何やらいじったみたいである。
荻原は遠くから注意をしただけで、あとは放置だったようだ。



5時間目は国語。己斐の授業だ。
生徒に書かせている時に、それとなく山本を見ると、机の下で何やら熱心にいじっている。近寄ってみると、スマホだった。

「山本くん、それは持ち込み禁止です。渡しなさい!」
生徒の視線が一気に集まる。

山本はスマホを慌てて隠す。
「出しなさい」と己斐が手を出すが、
『うるさい。何がや。』
山本は怒って言い返した。

「携帯電話をいじっているでしょ。出しなさい。」
授業中にいじっているところを指導されると大抵、観念して差し出すものだが、山本は違った。



『やってないわい。あっちいけや』
「あっちいけってどういうこと? 持っているものを出しなさい。」

『じゃけ、うっさいんじゃ!! あっちへいけや、ばばあ。』
キレ始め、己斐の手を払いのける。
「なら、職員室に降りなさい。そこで指導です」

『黙れ!』
「降りなさい」

『だ・ま・れ!!』
「代議員さん、職員室に行って先生たちを呼んできて」
代議員が即座に動く。

まずいと思ったのだろう、川本は携帯電話を差し出した。
『うっとおしいんじゃ! いちいち話しかけてくるなや。ばばあが』

「どういう口のきき方をしてるの? その言葉遣いはやめなさい」
『うっさいんじゃ!』と叫ぶとともに、ろう下の窓に向かって机の横にかけてあるデザインセットを投げつけた。

窓は派手な音を立てて割れた。



※ 指導のポイント

(1)不要物は即没収

何があろうと、不要物を確認したら、即没収する。
生徒に事情があろうとなかろうと、まず確保。

事情はその後聞けばいいが、安易に返してはいけない。
保護者に連絡を入れて指導を行うべきである

次回 → 第50話 その後の指導