第51話 いじめ | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第51話 いじめ

山本の窓ガラスの弁償の件は、結局うやむやになった。
結局、指導面においても山本自身の反省も促せずに、山本が己斐に恨み残す結果になった。
また、遅刻の一件で「朝読書さえすれば遅刻はつけない」という約束を反故にした己斐に対する1組の生徒たちからの風当たりは強くなった。



「もう、こっちにやるなよ」藤川の独特のイントネーション。
『もう、こっちにやるなよ~』笑いながら、真似をする。
周りの男子たちが大笑いをする。

1組の男子たちが、女子の藤川の机にカメムシを近づけている。
「だから、やめてよー」と言うと、他の男子が真似をして、笑う。

いじめである。

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藤川は学区外組である。
学区の中学校が荒れているため、小規模校を選んだのだが、今年の1年生は失敗だったとしかいいようがない。

藤川自身、状況判断がうまくできず、発音も変わっている。学力も高くない。
発達障害の傾向が見られた。
そして、そういう生徒はいじられる、いじめられる格好の対象になる。

学級の活動中で己斐がいるにも関わらず、「発音がおかしいです」といちいち言われていた。
己斐もそれに対しては何も言わず、藤川がからかわれるのも、いちゃもんをつけられるのも放置していた。
だから、毎日のように藤川に対するいじめは続いていた。

己斐は藤川に『悔しいんだったら、言い返しなさい』と言い、指導する気はなかった。




当然、放置していると状況は悪化する。
ここに2組の男子も加わる

ろう下ですれ違いざまに「うわ、きもっ」とか、「腐る腐る」とか、「あんなブサイクな奴見たことないわ」とわざと聞こえるようにいい、周囲が笑っていた。

藤川は「私が悪いのかもしれない」と、自省するが。
独特の思考回路をもっているが、やはり傷つくし、嫌だ。
毎日が苦痛で仕方がなくなっていた。

先生に言っても解決しなかった。
親に何気なく言ったら、親が激怒した。
「なんでそんなことを黙っていたの!?」

親が学校に来た。



※ 指導のポイント

(1)嫌がらせは即指導

この感覚が理解できない人が多いが、学校で嫌なことをされるのは当たり前で、仕方ないと放置してはいけない。
だから、指導しなければいけないし、加害側には教えなければいけない。

それをそんなもんだろうって放置して、問題が解決することは絶対にない。


(2)初期対応の遅さがいじめを誘発する

最初は何気ないからかいが多いが、それを放置すると、その行動はOKであるとこちらがお墨付きを与えたことになる。
初期対応が出来ないと放置してしまいがちになり、その結果として、問題が大きくなるまでなにもしないことになる。
そして、「学校は何もしてくれなかった」と非難される

当たり前の結果ですけどね。

次回 → 第52話 遊びですよ