第53話 再び、母来校 | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第53話 再び、母来校

藤川母が再び来校した。次は父親も来ている。
事前の連絡もあったので、対応は己斐と有田で行った。
藤川母が来校してから、1週間が経っていた。



『先生は電話で指導したと言ってましたよね。あれから収まるどころか、ひどくなっているのはどうしてですか?』
父親が黙って聞いている。
はやり、両親で来るというのは、重みが違う。
「きちんと指導はしました。それでも、あるようでしたらまた指導しています。」

『私は他の保護者の方から聞いているんです。先生は見て見ぬふりをして、男子に甘いとか。指導がいい加減とか。給食の配膳だってぐちゃぐちゃだと聞いています。うちの子はデザートを取られることもあるみたいです』
「ちなみに、誰から聞いたんですか?」



『小川さんのお母さんからです』

小川も藤川と同様に学区外から来ており、同じ小学校ということで気にかけていた。
小川は小学校から「この子はリーダー性があって、勉強もバツグン、いい子です」と送られてきていた。

己斐の評価は違った。
帰りのSHRではろう下でたむろする仲間に入っており、学級ではリーダーのような発言は見られないし、誰への注意もしなかった。
中間テストの結果を見る限り、たしかに学力はある。


小川の話であれば十分に信憑性があるし、己斐もうすうす感づいていた。
「ところで、お母さんが言われている生徒たちは、神無月小学校から来ていますよね。藤川さんたちとは違う。小学校時代の様子はご存じないでしょうが、今よりももっとひどかったんですよ。
今の状態を考えると、よくなってきているんです。指導も継続していきます。」

父親が口を開いた。

『先生、そういう言われても、確かに小学校のことは知りません。でもね、肝心なのはうちの娘なんです。たしかにうちの娘は鈍くさくて、目立ってしまっているかもしれませんが、だからといって、いじめられていいわけありませんよね。
困っているから、こうして学校に来たんです。どのようにしてやっていくのかを教えて下さい』

有田の方に視線を向ける。有田が口を開く。
「お父さんやお母さんの言われることはもっともです。藤川さんが楽しく学校に来れることが一番だし、そうなるように学校としても努力します。この件については、管理職にも報告して対応を考えて、やっていきます。」

『そうやって、やります、やりますで、よくなってないじゃないですか。
学級の状態も心配だし、一体何をやってくれるんですか。

もっと具体的に言ってください!
そうやって何もせずに、いじめを悪化させているのは、先生もいじめに加担しているようなものですよ!』


※ 指導のポイント

1.具体性を出すこと

保護者にはとにかく具体的なことを言わないと通じない。
逆に、具体的なことが言えないのは、準備ができていない証拠でもあるわけです。

具体的なことを言わない理由は、言ったらやらないといけないので、言質を取られないようにという思いもある。
けれど、そういう中途半端な気持ちでの対応はうまくいかない

次回 → 第54話 校長の反応と生徒指導