第60話 校長の憂鬱 | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第60話 校長の憂鬱

校長にしたら、最悪の年だった。
毎日が板挟みのような状態であり、毎日のストレスだった。



土井には「適正な評価を」としつこく言われ、しかも引かない。
その土井の主張に、他の教員が合わせればいいが、合わせない。

土井包囲網が出来上がっているが、そんなことで土井はびくともしない。
こうやって、土井は務める中学校で軋轢を生んできていた。
小規模だからこそ、一層わがままに振舞っている。

その経歴のおかげで、なかなか転勤先も見つからない。
おまけに、土本指導主事とツーカーの仲であり、校長は権威に極端に弱かった。

とはいえ、校内の教員が反土井勢力となり、校長自身が土井派と見られれば仕事がやりづらい。
多数決の論理は大事だ。

本音を言うと、土井の主張はどうでもいい。
問題はうるさく、しつこく引っ掻き回すから嫌なのだ。

おまけに、土井にくっつくように保健室の河野がいて、土井が気に入らないことをいちいち文句をつけてくる。

今回の成績のことについていえば、もうこれ以上、土井の言うとおりにするのはやめた。
放っておく。
上がってきた成績をそれでよしと承認する。



保護者がこれから来るのもあるからだ。
土井の主張のとおりになるように取り計らったところ、教員の強引なやり方に保護者が反発し、教員がさじを投げて、校長におしつけたからだ。
元々は自分が言ったかもしれないが、土井にも責任はあるが、それを取ろうとはしなかった。

*******

学級崩壊が目立つ。
それに伴い、保護者からのクレームが殺到。
毎日のように電話はかかり、教育委員会からも現状報告と対策を求められる有り様。

教員どもは、口を開けばすぐに「校長が対応しろ。早く帰るな」と連呼する。
お前らの仕事なのに、なぜわしがいちいち対応せにゃいけんのか。
そもそも、学級崩壊が生徒指導の問題をなぜ解決できんのか。

現状は遅々としてよくならない。
教育委員会からの評価も下がり、ボーナスの査定にも響く。
何もしなくてもクレームがつき、何かしてもクレームがつく。

ほとほと嫌気が差していた。

(自分はこの学校が、どうせ今年限りだろうし、もう適当でいいや。そもそも1年の担任達がしっかりしていないのが悪い)

校長は心のなかでそっとつぶやいた。


※ 指導のポイント

(1)チームワークを売りにしたい

問題が起こるのが学校。
だからこそ、それにみんなで当たるような雰囲気こそが大事。
何かがあれば、すぐに誰かを責める体質は異常である。

第61話 文化祭の曲決め