第63話 迎合 | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第63話 迎合

向井たちによる勝手な提案だが、それを覆らせるほどの力は佐々木にはない。
非常に情けないことだった。

何より、曲が決まったのだ。
もういいじゃないか。
そもそも、どうでもいいじゃないか。



その頃、1組でも同じように邦楽POPの提案がなされていた。
向井たちと昨日、打ち合わせをしていたのだ。
1組も同じように合唱曲が嫌だった。

2組が決まった様子を数名が見ており、1組に報告した。
「2組はPOPに決まった! うちらもそうしよう」

己斐は文化祭実行委員のメンバーであったが、今までの流れからして生徒たちの勢いは止められない。
結局、同じようなバラードに決まった。



さらに波紋は広がる。
というのも、小学校も小規模校で、縦のつながりもある。
1年がPOPなら2年もいいだろう、というのは自然の流れである。

流れに乗ったのは、荻原のクラスだった。
平川は生徒たちを掌握しており、生徒たちも平川の言うとおり、合唱曲がいいと思っていた。
荻原のクラスでは、問題を起こす生徒たちが天下を握った気でおり、それは荻原にも止められなかった。

結局、荻原のクラスも合唱曲から一転、邦楽POPとなった。

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6クラス中3クラスが邦楽POP。
これは受験を控えて大人しいとされる3年生にも波及し、両方のクラスが邦楽POPを採用した。
『下級生は良くて、俺たちはなんでいけないんだ』これが決め手だった。

なし崩し的に平川のクラス以外、邦楽POPに決まった。
これは担任が生徒をきちんと指導できない、暴走を止められないことを示していた。

文化祭実行委員会としても、黙認せざるを得ない状況となった。

その中で、平川は(合唱コンクールは勝った!)とひそかに思っていた。
平川にとっては、ここが一番大事だった



※ 指導のポイント

(1)決め事はみんなで守る

クラスが崩壊する一番の原因はルールを守らない、そして教員がそれを守らせきらない、というところにある。
学校としてこう動くと決めたものを全教員が守っていかなければ、学校体制が崩壊していくだけだ。

次回 → 第64話 体調不良