第65話 派遣されてきた指導員 | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第65話 派遣されてきた指導員

連日の騒動により、教育委員会は、生徒指導の指導員を急遽、派遣することになった。
あっという間に人が決まり、派遣されてきた。
7月中旬。夏休みが迫っていた。


派遣されてきたのは心理カウンセラーを目指す大学院生。
名前は南という。
カウンセラーが学校に研修にすることが増えており、「経験を積みたい」ということでエントリーしてきたようだ。
学校現場の経験もなく、どこから見てもただの学生だった。

教員たちはがっかりした。
どう見てもただの学生であり、優男できちんと指導なんてできない。
のに、指導員とは。

教育委員会としてお金があるわけではない。
だから、こうした学生アルバイトを募集するのが限界であり、優秀な人材がそのようなアルバイトで応募してくれることはない。
指導員の勤務は授業の時間のみで、上限が決められているので、1~6時間目までいるわけではない。

指導員の派遣と教育委員会の生徒指導を担当する教員が定期的に校内巡視をするようになった。
実質、改善なんて期待できないわけだ。



南の指導や打ち合わせは特別支援委員長の名倉。
荒れている1年1組、2組、2年2組を中心に授業に入ってもらうことになった。

初日が終了し、放課後。
「あの人、ずっと立っているだけで何もしませんでしたよ」と何人も名倉に南のことについて報告していた。

2日、3日経っても同じで、南は授業に入るものの、何もしない。
学生が授業中に、しかも荒れた生徒たちの相手や指導をするのは難しい。
当初の予想通り、戦力にはならなかった。

生徒たちも最初は南の様子をうかがっていたが、何も害がないと判断し、授業はいつもどおりの様相となった。
それとともに、名倉に対する批判も増えていた。
「名倉先生は南に何も指導をしていない」と。

職員室に新たな不協和音が響きだした


※ 指導のポイント

(1)優しく教えられる人になろう

指導員がきたとしても、それは役職であり、実力ではない。
だからこそ、「何をしてほしいのか」を具体的なレベルで教えてあげよう。
コミュニケーションを密にして、ケーススタディで学んでいく。

そうでなければ、指導員の良さも生かせないし、何も変わらない

次回 → 第66話 夏休み