第71話 帰りのSHR | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第71話 帰りのSHR

夏休み明け初日から3日間は、午前中で終わる。
島田は帰りのSHRの前に教室へ上がったが、クラスの半数以上が教室にいない。
そばの生徒に聞くと、「いつも」だそうだ。



チャイムが鳴った。
変化はない。
「時間割を書いて、まっておいてくれ」と言って、ろう下に出た。ろう下の端や階段の踊り場に、生徒がたくさんたむろしていた。
「おい、SHR始まっとるで、教室へ入れ!」

無視だ。
有田と赤井が上がってきていた。頼んでおいたのだ。
「おい、1組はお前らがこん限りSHRは終わらないよ」
『はあ、うっさいんじゃー。これでいいって言われとるんじゃ』

「それは誰が言ったの?」
『前の担任じゃ。2組の佐々木もじゃ』

島田は佐々木を呼んできた。
「佐々木先生、この子たちに帰りのSHRはろう下で居てもいいって言ったんですか?」

佐々木は答えに迷った。
(また面倒なことになる。生徒に言っても、教師に言っても)
「いや、、、、ぼくは、、、言ってはないです。」
『はあ、なんやそれ』と生徒が詰め寄ろうとするが、島田は間に入って、
「そりゃそうだろう。何を偉そうにしとんや。前の担任が言ったとしても、ぼくは認めない。教室に入りなさい。」



数名が階段を降りようとすると、
『気分が悪いから保健室に行くわ』と。
「わかった。だったら、今日はクラブには出れんねー、体調が悪いもんな。顧問の先生にはそう言っておくよ」

『はあ、なんで、そうなるんじゃ!! 頭おかしいんじゃない!?』
「SHRにも出れんのなら、この暑い中でクラブは無理だろ? これのどこがおかしい? 保健室に行くなら、保護者に電話して迎えに来てもらうよ」

島田はとにかく反論する。
生徒の屁理屈をそのまま通すわけにはいかないからだ。
生徒たちは方向を変えて、教室へいった。

山本が教室のドアを思いっきり蹴った。
「おい! ちょっと待てや。蹴るな」

山本は無視していこうとするが、島田が手を持って止めた。
「おい、好き勝手やってもらったら困るんじゃ。こっちこいや」
『わかったや。離せや』
暴れるかと思ったら、案外あっさりだった。

「よし、わかった。約束な。今回はこれで済ます。次はないぞ」

数ヶ月ぶりに、1組は全員で帰りのSHRを実施できた。


※ 指導のポイント

(1)筋を通す

生徒に好き勝手なことをさせると勘違いする。
常識を身につけさせるのは教師の役割である。

だからこそ、徹底してルールを守らせる。
堅苦しい、型にはめると批判する人がいるかもしれないが、今の学校ってそんなところであるし、公立の学校で生徒に好き勝手させたら終わり。
ルールはルールである。

勝手が成り立つのは学力の高い地域に限る。

次回 → 第72話 初日の昼