第74話 カギ | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第74話 カギ

島田は学年の教員を集め、教室の状況を見せた。
こうした動きをするのは、島田が仮にも学年主任だからだ。


島田が言った。
「これでも生徒に対して片付けるように言いましたが、こんなにぐちゃぐちゃな有り様です」
といっても、ひどいのは2組で、1組はほとんど問題なかった。

「クラブにも行かず、放課後に教員の目がないから、ここで好き勝手に遊ぶ場にしてますよ。
物もなくなるようですし。
最低限、生徒を全員きちんと階から下ろすとか、使い方が悪ければ使用禁止にするとかしないといけませんよ」
2組担任の佐々木にしては、これがいつもだから、改めて何かを思うことはない。

『ここの学校は外にむき出しだから、すべての教室にカギがつけられるんですよ。まず施錠をしたらどうかな』
有田が言った。



施錠について賛成だったものの、いつ施錠するのかが焦点になった。
放課後だけか、移動教室で教室が空になるときもか。

「教室が空になる時はすべて施錠しましょう。代議員に鍵の管理をお願いして、帰りのSHRで回収すればいいでしょう。
そして、担任は生徒を全員追い出して施錠してから降りましょう」
島田の意見が通った。

というのも、物がなくなるなど異常事態が起きており、それに対する処置が何もされていないからだ。
極端かもしれないが、このくらいしないといけない。

*************

翌日。朝からさっそく1学年の生徒で学年集会を持った。
学年主任の島田が話をした。

・物がなくなることが続いている
・教室の管理状況が悪い
・カギは代議員が管理して、他の生徒は触らないことを徹底すること
・放課後は教室に残ってはいけない

菊野が手を挙げて発言した。
目はしっかりと島田を睨みつけている

『宿題を忘れたときは、放課後残ってやってはいけないんですか?』
この話も昨日の学年会で出た。
宿題忘れで放課後残って、遊び呆ける生徒が多いのが現状だそうだ。

「だめです。教室が遊び場になっている現状があると、聞いているからです。」
『だったら、困るんですけど!』

空気がよめないのか、みんなが味方についてくれると思っているのか、こういった場でこの雰囲気の中でこうした強気の発言ができることに島田は感心した。
「宿題は家でやるためであり、放課後はクラブに出ましょう。宿題をやっていない人は、クラブに出ずに家に帰ってやればいいです。先生たちもサポートのために、家にしっかりと協力の電話を入れますから、安心してください」

生徒がざわめいた。

「本当はね、こういうことはしたくない。でもしないといけない状況なのを理解して欲しい。
君たちだけでうまくやれることは君たちに任せたい。
ただ、うまくできない場合は、うまくいくようにルールを設けるなど制限をしないといけない。

だからね、どうするかなんだよ。
自分たちでできることが増えたら、もっと自由なこと増える。
逆もそうだよね。

自由が減っていく。
ルールが増えていく。
どっちがいいかは、きちんと考えて行動して欲しい」


※ 指導のポイント

(1)何かあれば学年集会

驚くことに、学年で「こうしましょう」「こう言いましょう」と決めたことでもきちんと守れない担任が多い。
だから、1つの口で大事なことを伝える必要があるから、学年集会になる。

また、何か問題があれば生徒に知らせ、共有することも大事である。
そもそも、集会がある事自体が緊急であり、あってはいけないことだと生徒に理解させなければいけない。

次回 → 第75話 2日目のゆくえ