第77話 遅刻の指導、再び | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第77話 遅刻の指導、再び

「遅刻は朝のチャイムが鳴り終わったタイミングでチェックですよね」
あとの職朝の学年打ち合わせで島田が確認した。
この遅刻を巡っては、佐々木と己斐の間でちょっとしたトラブルがあったと聞いている



2日様子を見た感じでは、なあなあな感じがあったので確認した。

教室に上がり、朝読書前、島田は教室にいた。
チャイムが鳴る前に「席につけよ」と呼びかけた。

チャイムが鳴り終わるころに7,8名の男子生徒が教室に入ってきた。
「ちょっと立っておけ、お前らは遅刻じゃ」
まだ名前と顔が一致しない。島田はいない生徒の席をチェックしておいた。

『はあ、なんでや!』
生徒から声が上がる。
「え!? なんでって。チャイムが鳴り終わった時に席についてなかったら遅刻でしょ?」
『教室におっただろうが!! 朝来とるのに遅刻っておかしいんじゃないか!』



「おかしくないよ。約束通りに遅刻の判定をして、遅刻をつけているだけよ」
『これで今までやってきとるんじゃけ、いちいち押し付けんなや』

「それは君たちが勝手にそうやってきたんでしょ? 学校のルールを勝手に曲げたらいけんよ」

ここで菊野を始め3名の男子が教室を出ていこうと歩き出した。
「おい、なんや?」と声をかけると
『校長に言ってくるわ』とそのまま教室を出て行く。

「おい、とまれ!! 勝手に教室を出るな」
『じゃあ、遅刻消せや』
「校長室に行くのはかまわんけど、休憩時間にせいや。朝読書じゃ。勝手にするなら、こっちにも考えがある」

しばしの間があったが、3名は教室に戻った。
『1組だけこうやって遅刻をつけるのは差別じゃないか』
「わかっとるよ。佐々木先生にもチェックをお願いしているし、5名はろう下にいたから、遅刻をつけているか、見てくるよ。君らは席で読書をしなさい」

島田が2組に行き、佐々木をろう下に呼ぶ。
「遅刻を何人つけた?」
『いや・・・つけてないです。』
「え、なんで? あれ、遅刻でしょ?? 誰かはわかっとるんでしょ? 朝確認したじゃないですか」
『いやーー』

さすがにカチンと来たが、佐々木に言っても仕方がない。島田は2組の教室に入っていった。
「失礼します。チャイムが鳴り終わったときにろうかに男子が5人いた。それは誰かね。立って」

当然誰も立たない。
島田はある男子生徒を手で指し、「君はろう下にいたね。遅刻だよ」と言った。
『はあ、何でや。しかも、おれだけなんや』

「君は遅刻した。だから。他にあと4名はいる。誰かね?」
『そうやっておれだけ差別されんといけんのんや!』

「じゃあ、誰がやったんか、言ったらいいじゃん。それを言わないのは、君の言う差別じゃないのかな?」
沈黙。
「佐々木先生、誰が遅れたのか、言ってください。」
佐々木はしぶしぶ言った。
あとのやりとりは、1組と同じだった。

「君らに言っておくけどね、差別差別といったら、自分がやったことが許されると思った大間違い。
そうやって罪から逃げることを考えることがずるい。
きちんと罪を認めなさいや」

「佐々木先生がちゃんとチェックしてくださいね」と言って出てきた。
生徒の前で、教師相手に注意をするのは、とても気が引けたが、ここは大事にしないといけないので言った。
遅刻は、生徒指導にも進路にも影響するからだ。
2組がいい加減にやってもらっては困る。

朝きちんと確認していたことだったのだが。


※ 指導のポイント

(1)差別、ひいきにごまかされない

生徒はすぐに「ひいき」「差別」という。
それで教師がひるみ、自分が責められないと勘違いしているからだ。

とにかく、ルールを破った生徒、指導すべき生徒には「君の話をしている」と言って、他の人は別の話ということで切り分けなければうまくいかない。
その生徒に認めさせた後に、他の人について聞けばいい
だまされてはいけない

次回 → 第78話 臨時の学年集会