第80話 ろう下にたむろを指導する | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第80話 ろう下にたむろを指導する

夏休み明けの3日目の帰りのSHR。
3時間は今日までで来週からは給食が始まる。

島田は早めに上がり、生徒に早く教室へ入るように声をかけた。
1組はそろそろと入った。


2組の生徒は相変わらず、ろう下でだらだらしていた。
島田は2組の生徒には声をかけずに、佐々木を見ていた。
佐々木は見られているのがわかっているのか、生徒に声をかけていた。

チャイムが鳴った。
入らない生徒は相変わらずの人数だった。
ちなみに、逆側を見れば2年生もろうかでウロウロしていた。

有田と赤井が上がっていて生徒に声をかけているが、毎度のことで動こうとはしない。
島田はクラスにSHRを始めるように指示をしてから、ろうかでたむろしている2組の生徒の元へと行った。

「おい、もう帰りのSHR始まっとるで。教室へ入れよ」
いるのは、向井、神田、甲本、酒井、五木など男子が中心。

「ん? 都合の悪いのは無視か??」

『は!? うっさいんじゃい。お前は1組にいっとけや。おれらは2組なんじゃ』
「だから? 同じ学年の生徒でしょ。声をかけるのは当然よ。今やっているのは、授業エスケープといっしょ」
赤井がハラハラしていた。佐々木は腕組みをして難しい顔をして見ているが、口を挟むつもりはないらしい。



『じゃけ、何が言いたいんや。おれらはここにいることを認められとんじゃ。』
「認められとるわけないじゃろうが。今朝の学年集会でも行ったし、これは大きな問題なんで。」

『じゃけ、うっさいんじゃ!!』と向井がキレた。
防火扉を思いっきり蹴り、階段を降りていこうとする。

「おいおい、そうやって物に当たるな。壊したら弁償になるで。そして、そうやって勝手にどっかに行く。
早退か? そんなんじゃ、クラブにも出れんよな」
島田は物理的に止めることはせずに、挑発するように言った。

向井が反応して殴りかかってきたとしたら、挑発した島田も怒られるだろう。
が、そこまではないと踏んでいた。
相手はヤンキーでもなんでもない。

根はまじめであり、塾まで行って勉強している。
ただ単に勘違いしているだけなのだ。
どちらが上かをはっきりさせておかないといけない。

向井が立ち去り、残った男子たちに島田はこう言った。
「向井がああやった逃げたけど、あれで済んだわけじゃないのはわかっているよな。指導するし責任は取ってもらう。
君らはどうする? 問題を起こす? それとも教室に入るか? 選びんさい」

『はいはい。わかりました。そうやって、なんでもかんでも問題にして脅すわけね。大人って汚いわー』
立ち上がりながら酒井が言い、教室へ向かって歩き出した。

島田は酒井を呼び止め、
「おい、ちょっと待てや。どういう意味や。お前がやっとることはそんなに正しいんか? 学校来て、好き勝手して、指導されたらその態度はおかしいんじゃないか!」
『はいはい。だから言っとるじゃないですか。教室にいきますよ』
佐々木は、酒井がこういう態度で冷凍みかんの件で反発したのを思い出した。

「あのな、その態度自体に反省がないって言っとんじゃ。好き勝手やって謝るべき場面だろうが。なんや、その口のききかたは」
『悪かったですよー。ちょっとどいてください』

「いや、だめだ。そのなめた口のきき方を訂正せいや。誰に向かってしゃべっとんじゃ」
酒井は黙り込んだ。
「調子が悪くなったら、今度は黙るんか。都合がいいのう。それで終わると思っとるんだろうが。済ませるわけないよ。」

神田がしゃべった『まあまあ、先生、こいつも反省しとんじゃけん、そのくらいにしとこうや』
「悪いんだけどね、済ませられんのよ。君は教室に帰っておき。酒井くん、君はどうする? 今謝るんか、あとでぼくゆっくり話をするんか、選んでくれ。今は大事な帰りのSHRの時間なんじゃ」

「すんませんでした。もうやりません」
酒井はうつむいたまま、小声でいった。


※ 指導のポイント

(1)徹底的にやるときは徹底的に

生徒に教えるべきはどっちが上かどうか。
ここを生徒が勘違いしている場合は、指導なんて入らない。
「目下の者の言うことをなぜ聞かないいけないのか」反発しか残らない。

徹底的にやるときがある。そのときには手加減してはいけない。
勝負場面で勝負をするからこそ、指導がうまくいくようになる

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