第84話 アンケート | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第84話 アンケート

佐々木は朝から緊張していた。
黒板への落書きに対する生徒指導をしなければいけない。
うまくいくのか、、、生徒からの反発は・・・。

今まで生徒指導から逃げてきたので、実際にするとなると自信がない。
島田からは、「別にうまくいかなくていいから。言うべきことはきちんと言おう」と言われていた。
その点は気が楽だった。


ろう下の生徒に声をかけ、生徒を座らせる。
朝は遅刻の判定があるので、定時になると座れるようになっていた。
これも、指導したたまものであった。

赤井、有田が教室へ入ってきた。
佐々木は口を開いた。

「先週の金曜日の朝の学年朝会で、黒板に落書きをしてはいけない、と言っていたのに、またやった奴がいる。
しかも、今日も黒板を落書きしている。誰がやったか言いなさい。」

生徒は途中からざわざわし始めて、中には後ろを向いている生徒もいる。
「今は話を聞くときだろう! 静かにこっちを向きなさい」有田が叫んだ。

『そんなん誰がやったかはしりません』と甲本が言った。
『そうやって決め付けんなや』
2組の教室はざわついた。

1組は朝読書を静かにしていた。
だからこそ、2組のざわつきがよく聞こえてきた。
島田は1組の後ろ、つまり2組側の出口で朝読書の様子を見ていたので、2組の状況がわかる。

島田は教室を出ると2組に入った。
「おい、今何やっとんじゃ。先生の話を聞く時だろうが! 好き勝手なこと言うな。誰かがやったからなっとるんだろうが!」
叫んだ。



2組はシーンとなり、甲本が言った。
『だから、知らないって言っているんですよ』

「なるほどね。じゃあ、誰も知らないわけ?
そんなわけあるか!!
誰かがやったからこうなっとんじゃ。

でね、知っているのに、知らないとウソを付く奴も共犯で。
そうやって、教室がどんどん乱されているのを、知らないと嘘をついて加担しとるんで。
それをわかって言えよ」

島田は言いたいことを言って、1組に帰った。
佐々木が再度聞いたが、誰も何も言わなかった。
「だったら、アンケートを実施します。名前と知っていることを書いてください。アンケートは先生たちが回収します」

『はあ、なんでこうなるんや。』
『面倒じゃの』

「だったら、誰がやったかを言えばいい。犯人は名乗り出たらいい。そうやって隠しているからこうなっとるんじゃ。」
有田が言った。
アンケートを書くときも落ち着きがなく、度々注意が必要だった。

ので、島田がまた2組にいって「うるさいぞ!」と声を荒らげることとなった。
島田に対しては生徒は真っ向向かってこなかった。

そして、アンケート終了後の朝SHRでは2組は賑やかしかったので、島田がまた文句を言いにいく羽目になった。
佐々木の指導力がない分、誰かが悪者になって指導をしないといけない。


※ 指導のポイント

(1)アンケートを取る面倒さを与える

アンケートを取ることはとても生徒は嫌がる。
だけれど、何か問題が解決しない時には、そのまま放置ではだめである。

全員と面接ができるわけではないので、アンケートを取る。
このアンケートは誰にも邪魔されない、回収の際に中身が見られないようにする工夫が必要。
だから、折らせて自分で前にもってくる、教員が回収するなどの工夫する。

次回 → 第84話 アンケート