第85話 判明 | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第85話 判明

たかだか黒板の落書き。
されど黒板の落書き。

1組の朝のSHRで島田は、2組でアンケートを取ったこと、黒板の落書きをしてはいけないことについて再度話をした。
機を捉えて言うべきである。


2時間目。
島田と佐々木は空き時間で職員室にいた
佐々木から、2組のアンケート集計は残念ながら誰からも何の情報もなかったと報告があった。

「そんなもんだろうね。こういう時は、誰か頼りにできる生徒に個人的に、秘密にしておくからといって話を聞いた方がいいですよ。
そうしたら、うまくいくはずですよ。誰かいませんか?」
『うーーーん、どうかな・・・』
佐々木は正直困った。
生徒との信頼関係なんてないし、自分が話をしてちゃんと聞いてくれるのかも怪しい。



昼休憩、島田が職員室に向かっていると2組の女子生徒が3名ほどやって来て、内密に話がしたいと。
『担任の佐々木はあてにならないし、何もしてくれない。チクったのがばれたら嫌だ』ということらしい。
黒板の落書きは、向井、酒井、五木が主にやったとのこと。

2組は男子が意気がっているから、女子は肩身が狭く、男子の悪事は知っているけど言えないらしい。
「そうだよな。それって許せんね。この件については、教えてくれてありがとう。君たちのことは絶対に伏せておいて、ぼくも入って責任持って指導をするから」と島田は言った。

すぐに佐々木のところに行き、指導の作戦を立てる

*******

放課後。

佐々木は向井、酒井、五木をふれあい教室へ呼んだ。
『おい、なんなんや!』と生徒に言われながら、実行できたことに島田は安心した。
生徒の呼び出しさえ満足にできないのではないかと思っていたから。

指導については島田から話をした。有田にも来てもらった。
「アンケートを見たら、君たちの名前があったから、ここに呼んだんだよ。心当たりはある?」
『そんなん誰が書いたんですか。名前を教えて下さい』酒井が言う。

「それは教えられないよ」
『なんで、教えられないんですか。ぼくらに知る権利があります』

「君たちは知ったら、その人達に報復をするんじゃない? だから教えられない」
『報復なんてしません。ただ知りたいだけです』

「それでは、教える意味なんてないじゃないか。それよりも、結局、黒板の落書きをしたのか、してないのか、どっち?」
沈黙になった。
3人が顔を見合わせている。


※ 指導のポイント

(1)指導は大勢で

指導に加わる教師が多いだけで、生徒には圧倒的なプレッシャーになる。
考えてもらいたい、1対1よりも、何人に囲まれる方が圧倒的に怖いことを。
だから、いるだけでもいいから教師を呼ぶ。

できる限り、1人ではなく2人で行いたい。


(2)情報源を確保する

教室で起きていることは、教師は知らないが生徒は知っている。
そして、それを生徒は知らせてくれない

これは学級の成熟度や教師との信頼関係の問題である。
ただし、個別に「秘密にしておく」という場合に生徒は教えてくれることが多々ある。
だからこそ、特定の誰かを情報源になるように関係を作っておくお事は大事である。

そして、得た情報は絶対に誰からかを言わないこと。
また、情報を得ている場面を他の生徒に見られないこと。

次回 → 第86話 指導する