第92話 給食の指導 | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第92話 給食の指導

夏休み明けの初めての給食はひどかった。
ひどいとは聞いていたが、ここまでぐちゃぐちゃだとは思わなかった。


島田は2年生と3年生の学級も見て回った。
唯一まともにしているのは2年1組の平川のクラスだけだった。

3年生のクラスでも、ナフキンがない、三角巾をつけて配膳していないなど、不備が多かった。
1年2組(佐々木)と2年2組(荻原)は壮絶にだめだった。

1年1組もだめだったが、島田の手前もあり、まだ無茶はしていないという程度で、本来の違いはない。
給食当番のエプロンなどは皆無で、配膳も遅い。
席は自由に移動している。

「あのな」
島田は静かに口を開いた。
生徒の給食への手が止まる。

「給食のお約束がさ、全然守られてないよな。隣もだけど。
今日は、ぼくが初めてだったから、仕方ないとしても、明日からはなしね。
これではいけんから、帰りのSHRに話をするね。」

教室はしーんとなった。



昼休憩に保健室の河野と給食の話をした。
給食はセンターからの配達であり、学校の担当が河野だったからだ。

そして、職員室へ行き、急遽、学年会を持った。
といっても、帰りのSHRで学年集会を持つことと、その内容についてだった。

******

急な学年集会と聞いて、生徒はざわめいた。1組の生徒は給食のことだとピンときた。
生徒の集まり方も悪ければ、態度も悪い。
多少のことは、後に回すことにする。

静かになったところで島田は話し始めた。

「今日、ぼくは初めて給食を食べたんだけど。
驚いた。

学校には給食のお約束がある。
何か知ってる??

給食当番は、エプロン、マスク、三角巾を着用すること。
まず手を洗い、12時55分までに配膳を終えること。
そして、3回合格であれば次の給食当番になる。

これが守られてない。


次に、配膳中に当番以外は教室にはいらない。
机の上には全員ナフキンを敷き、忘れたら職員室で借りる。

これも守られていない。

極めつけは、後片付けがぐちゃぐちゃ、教室もぐちゃぐちゃ。
なんじゃこりゃ!!


これをきちんとすべて守ってもらいます。
ちなみに、このことは、特別でも何でもなくて、当たり前のことですから。
入学した最初は守れていたと聞いたよ」

シーンとした中で、向井が発言した。

『今までこれで許されてなかったのに、どうして急に変えるんですか?』
「今までがおかしかったから、正しいやり方に直すんです。間違いはすぐに訂正しないといけないでしょ? だから、こうやって集会を持っています」

『そうやってなんでもかんでも、押し付けて、決めつけるのはどうかと思います!』
「ここさ、学校だよ。君は、好き勝手なことをしたいがために学校に来ているの? そういうわがままは家でやりなさい。思う存分ね」

『そんなんできるわけないだろうが!!』と向井はキレ始めた。
「学校なら許されるわけ?」

『そうやって言うからムカつくんだろうが!! なんでもかんでも禁止しやがって。お前が来てから面白く無いんじゃ!』
「あのな、君が面白い、面白くないを、ぼくのせいにしないでもらいたい。
まずはやることをやろうや。
ルールは守りたくない、注意されたら面白くないって、それはただのわがままだよ」

『じゃけ、教師は嫌いなんじゃ!!』と怒って出ていこうとすると、菊野が声をかけた
『出て行ったら、親に電話されるで、いちいちうるさいから』
ただの嫌味だ。とはいうものの、これに同調するのは少数になっている。

「自分の子どもがさ、ルールは守りたくない、教師が嫌い、ムカつくと文句を言うようなことをしていて、知らんでもいいんかね。保護者はさ、心配すると思うよ。それにさ、学校来るんだったら、集団生活をする覚悟を持ってこいよ」

保護者という言葉が聞いたのだろう。
向井は『勝手にせいや!』と言って座り、うつむいた

「わかった。ありがとう。勝手にするよ。向井君もああいってくれたし、明日からやっていこうや」

誰も何も言わなかった。
島田に何か言っても、理路整然と反論される、これが生徒には脅威だった。
今までは、わがままを押し通しさえすれば、教師が勝手に妥協してくれていたからだ


※ 指導のポイント

(1)毅然とした対応を

毅然とした対応をしよう、と教育委員会からよく言われる
口で負けたら教師は終わり。
もちろん、すべていい負かすわけじゃない。

きちんとした論理を持つと、余裕を持って対応できるようになる
だからこそ、毅然と対応できるようになる。

全体の場では感情を荒らげることなく、対応したい。
というのも、教師の感情的な発言で、生徒にも火がつくかもしれないからだ

次回 → 第93話 給食指導をがんばろう!