第186話 給食当番を不合格にするどころか | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第186話 給食当番を不合格にするどころか

「とにかく妥協したらダメ。
ルールはルール。やらせ切ることが担任として必要。

生徒が気づかないところで担任が帳尻を合わせるのは意味がない。
生徒はそれを悪用する」

島田には何度も言われてきた。



給食の配膳台の片付け、ストロー袋の散乱、これは放っておいてはいけない。
今まではそれでもよしとしてきた。
が、学級を良くするためには、配膳台の片付けがきちんと出来ること、ストロー袋が散乱しないことが絶対条件である。

佐々木は今までここに重要性を見出してこなかった。
いちいち指導するのが面倒であり、このくらいはいいか、という考えもあった。
何事も波風を立てたくなかった。

しかし、波風を立てないことは妥協であり、教育ではなかった。
子ども助長させるだけであった。

帰りのSHR。給食の報告。
保健委員が「今日は合格です」と言った。
生徒からよっしゃーと声が上がる。

この雰囲気の中で反対の声を上げるのは勇気がいるが、

『いや、だめだ。今日は不合格だ』



「ええーーー意味分からん! 今合格って言ったじゃん」
『それは保健委員が勝手に言っているだけで、おれに確認したわけじゃないでしょ。
そもそも、ストロー袋は落ちているし、配膳台を拭く係はゴミを取らずに床に落として汚したわけだし。』

「はあ、配膳台拭いたのにそれっておかしいじゃん!!」
と言ったのは、今日の配膳台拭き係の酒井。

『だめに決まってる。お前がやったのは掃除じゃない。ゴミを撒き散らしただけじゃ』
酒井から反論があると思って、何を言うかを用意していた。
島田にも相談した。この頃、何をしゃべるかさえ、誰かに相談しなければ決まっていないかもしれない。

「意味分からんし」
『そうやって意味分からんって逃げるてるから、自分勝手なことができるんじゃん。
じゃあ、お前は家でやっとんか。そうやって、ごみを全部床に落としとんか!?』

「やるわけないじゃん」
『そのやるわけないじゃんを、学校でやるのはどうしてや? 親にそうやって教えられたんか』
何をしゃべるか決めてきたので、口がなめらかに動く。

『そもそも、ストローも点検してないじゃないか。10個以上落ちてたで。
こんなんじゃ、合格もないわ。
それにな、配膳台のことも注意したのに、無視した。

これは悪意がある行為じゃ。だから、給食当番をプラス1回』

「なんやそれ!」と大ブーイング。

『スポーツでもあるじゃろ。悪質な行為にペナルティは当然』

そうやって押し切った。

次回 → 第187話 そして、次の日の給食