第197話 言い分 | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第197話 言い分

中村に対しては、酒井と甲本から謝罪があり丸くおさまる形となった。
甲本に関しては根本原因が解決してはいないが、それも仕方がない。

中村に対するデブ発言は気をつけてみるしかなかった。
担任の佐々木の心境は「面倒くさい」であった。
佐々木に言わせると、



そもそも、デブと言われるのは、本人の問題なのである。
嫌なら嫌といえばいいし、言われてから誰に言われたと報告すればいい
そもそも、なんでそうしたことの面倒をこちらが見ないといけないのか。
それがどうしても納得ができなかった。

中村は常におどおどして自分の意見を言わない。
それどころか、宿題もろくにやらず、常に提出物を出していない常連である。
おまけに、小デブだ。

そんな人間が、クラスメイトからいじられないわけがない。
本人がどうにかしないといけない問題なのである。


ふと夏頃にした荻原との会話を思い出した。



荻原は愚痴をこぼすように言っていた。
「親がちゃんと教育しないから問題が起こる。それをなぜ、教員が面倒見て、尻拭いをしないといけないのか。
問題が起きれば本人ら同士で解決すればいいじゃないか。
こっちはなんでそういう面倒を見る必要があるのか。

しかも、問題が起これば、全部学校の責任、責任、ってうるさいのに、普段から何も協力してないくせに。
自分のところの子どもが問題起こしてんだから、親がなんとかしろ」

とかなんとか。
それに妙に共感したのを覚えている。荻原と考え方が似ていたのか、共感したからそう思うようになったのか。

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そうした気持ちを察してか、佐々木や有田はしつこかった。
「今回の指導をするのは、中村のためであるけど、生徒のためにありますよ。
だから、面倒とか思ったらいけませんよ。

担任ってこういうことの繰り返しなんですよ。それをきちんと解決していけば、自然と生徒に力がついて成長していって、学級が落ち着くんですよ。
それをやらない担任が学級を崩すんです。」

『いや、わかってますよ』と言ったが、しつこかった。

次回 → 第198話 愛