第199話 根本的な欠如 | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第199話 根本的な欠如

佐々木は呆然と立ち尽くしながら、島田は続けた。
今夜は言う気らしい。

「有田先生のすごいところは、いっつも生徒に優しいですよね。それは言葉のかけ方じゃなくて、その態度や顔の表情でもわかります。
だから、生徒もなんだかんだと有田先生のことをからかっているけど、好いているんですよ」

有田は賑やかしい生徒たちから「ハゲ」と言われたり「何できたん?」と言われたりするから、生徒が怒っているわけではない。
生徒はむしろなついている。



生徒は自分に対してはどうだろう。警戒ばかりされている気がする。

「先生は生徒のことが嫌いでしょ? 自分の言うことを素直に聞く生徒は好きで、言うことを聞かない生徒のことは嫌いでしょ?
でも、それは人間の価値とは違うとぼくは思うんですよ。だから、生徒はそうやって決めつけている先生のことを、不審に思っているわけですよ」
『うーーん、、、そうですかねえ・・・。どうかな。』
はぐらすので手一杯だった。頭の中で、今言われた言葉をどう解釈するのか、ぐるぐると回っていた。


「まあ、そう思いたいのであればそれでいいですけど。でも、ここの部分を変えないと今後もうまくいきませんよ。
ぼくや有田先生がしつこかったのは、先生が嫌な顔してたからです。
きっとこんな表情して生徒に対応するんだろうなって思えて、先生の言葉が本心じゃないなって思ったからです。

勘違いだったら申し訳ないです。でも、義務感で指導したとしても、うまくいかないですからね。」



佐々木は黙って立っていた。
島田の言葉を真実を突いていたが、受け止めきれない。自分はできる人間のはずだ。なのに・・・。
聞くんじゃなかった。

帰ろうとする島田を呼び止めた。
『どうやったら愛は持って生徒に接しられるんですか?』

「うまくやろうとか、体裁を守ろうとか、したらうまくいきませんよ。もしも、愛が持てないなら、部活動の指導を熱心にやったらわかると思いますよ
ぼくが今まで先生に言って来たことは、生徒指導のテクニックやスキルです。
どれだけ生徒指導がうまくなったとしても、生徒への愛とは無関係ですから」


部活動かあ・・・。
サッカー部の顧問であったが、サッカー部は荒れ放題だった。小規模の学校ゆえに、1つのクラブには顧問が1人、女性がいくつかのクラブを応援に入るような形で、サッカー部をおしつられた気がしてならない。
練習もろくにせず、こないだは陸上部や野球部とともに遊んでいたのを見た。

「クラブをやれば愛がわかると・・・・?」

次回 → 第200話 クラブの状況は?