第205話 掃除始まる | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第205話 掃除始まる

小規模校の掃除は教員にとってはかなりの苦痛だ。
というのは、そもそも学校は4,5クラスは入るように設計されているのに、現在2クラスずつしかないわけだ。
この広さは、少ない生徒でシェアし、少ない教員が監督に当たる。

大規模校なら、担任は教室に専念すればいいところが、教室の他に廊下、トイレといったように複数の掛け持ちをしないといけなかった。
おまけに、教員の質も低ければ、掃除に目が行き届かず、神無月中の掃除はめちゃくちゃだった。



状況が状況だけに、力がない担任ほどぐちゃぐちゃになっていく。
荻原のクラスでは、掃除をサボるのが当たり前であり、特別教室の階では鬼ごっこや物を投げる、下に水を落とすなど様々な遊びが行われていた。
荻原の教室は、掃除を真面目に行う生徒がほとんどいないので、机イスは後ろや前に移動させずにそのままである。

なんとなくほうきで掃いて、なんとなく黒板消しをきれいにして終わりだった。
隣のクラスに平川がいるので、大きく遊び呆けることはなかったが、掃除が機能している状況ではなかった。


佐々木のクラスも似たようなもので、まだなんとか机イスは下げてはいるが。
イスは机の上に上げずに、そのまま押して下げるだけである。
そのため、椅子や机の足が床とこすられ、落ちているシャーペンの芯を挟み込み、床を真っ黒くしていた。

掃除ではない。でも、それが指導できずにいた。



掃除の新しい取り組みについて、帰りのSHRでクラスに説明した。
「うわっ、めんどくさ」という反応が主だった。
といっても、学級を荒らす生徒たちの反応だけであり、残りの2/3の生徒は押し黙ったままであった。

奇妙な沈黙である。
こうした微妙な間がクラスには度々流れるようになっていた。
その時に、佐々木はこの沈黙が「いかにクラスが面白くないか」という生徒の心の声のように思えるのだった。

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いざ、掃除となった。

まずは、掃除時間の始まりなのに生徒が全員集まらない。
6時間目は教室で授業だったのだが、5分休憩の間に何をやっていたのかと不思議になる。

佐々木は技術棟が担当であり、赤井が教室の担当である。この2つの掃除場所でクラスの全生徒できれいにする。
金工室、木工室、電気室、おまけにその周辺部の廊下を含むは多すぎて佐々木の手に負えていない。

昨日のSHRであれだけ大事な話として、話をしたのに生徒に響いていないことも情けなかった。
全生徒がそろうのは5分経ってからだった。
いつもなら、「早くやれよ!」というだけであったが、佐々木は誰が何分遅れたかをメモした。
(ねちっこいことやっているな)とバカバカしく思う反面、こうした証拠集めが指導では大事だと感じていたからメモは続けた。

掃除に関しては口を出さなかった。
最後のチェックで見ようと考えていた。


「先生、終わったよ」と生徒に声をかけられたが、その時には班員が教室へ帰っていたり、掃除がぐちゃぐちゃだったりと機能した様子はなかった。
いつもどおりに、「なんかやった」程度のものであった。
(やれやれ・・・)佐々木は心の底からため息を付いた。

次回 → 第206話 掃除の反省会とやり直し