第207話 掃除トラブル | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第207話 掃除トラブル

「先生、今日は掃除のやり直しをさせたんですね」と島田が切り出した。
『ええ』と答えながら、佐々木は嫌な予感をどんどんふくらませていた。

「で、どうした?」
(もう、早く本題に入ればいいのに)と佐々木は思いつつも
『半分以上の生徒が居残りしませんでした。残った生徒はちゃんとやってましたよ』



「さっき、先生のところの生徒数人が相談に来たんですよ。居残りした生徒たちは掃除時間もちゃんとやっていたのに、放課後もさせられたらたまらないって。
それに、逃げた生徒はそのままで、少ない人数でやるからさらに時間もかかって、不公平だと」
『逃げた生徒の名前は把握しています。だから、明日指導する予定ですよ!』食って掛かるように言った。

「どうやってやる予定ですか?」
『明日の放課後に掃除をさせます』

「明日の掃除自体がやり直しになったら?」
『その分も合わせて掃除させます!』

「また明日逃げたらどうします?」
『そうしたら、全員連れ戻しますよ! ちなみに、そんなことを誰が言ったんですか?』

佐々木は腹が立っていた。クラスの生徒が島田に告げ口をしたように感じたからだ。
そんな話なら自分にすればいいし、自分だって明日指導する予定だったのだ。



「先生、誰が言ったかは置いておきましょう。放置しておけないのは、不満を持っている生徒がいるってことですよ。
しかも、それがいつも真面目にクラスに貢献してくれている生徒なんですよ」
『いや、だから、明日、指導したら、生徒も、わかってくれますって!』
佐々木は腹立ちもあり、大きな声になった。数名の教師がこちらを振り向く。


「わかりました。じゃあ、それでやってくださいね」
『わかってますって。そのために、1月に入ってからやっているんじゃないですか。』

********

朝のSHRで佐々木は宣言した。
『昨日のやり直し掃除で残っていなかった奴は全員記録してある。そいつらは全員、今日の放課後に残って掃除をしてもらう!』


そして、掃除時間。
今日も遅れてくるのかと思って待っていると、半分近くが来なかったのである。
やり直しを命じられた生徒達が「どうせ放課後にやるんでしょ?」と遊び時間に変えたのだ。
生徒たちは教師たちの目に見つからないように走り回ったり、物を投げたりしながら過ごした。


「お前が放課後にやらすって言っけえ、いけんのんじゃん!」
帰りのSHRの掃除の反省で、佐々木がダメ出しをしたところで、向井がキレながら発言した。
「掃除時間もやったら、放課後に掃除する意味がないじゃん。そんなんもわからんのん?」

『それとこれは別だろうが。そもそも掃除をサボること自体おかしい! 』
とは言ったものの、生徒に響かないのはわかりきっていた。

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