第211話 怒り爆発 | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第211話 怒り爆発

佐々木が、またもや嫌な予感を持ちながら校長室に入った。
ソファを勧められ、校長が正面に、教頭が角に座った。

「島田先生から聞いたんだが」と教頭が口火を切った。
佐々木はこの瞬間に、(島田がチクった)と悟った。

こういうやり方に出るとは姑息なやつだ。怒りが沸々とわいてきた。



「生徒からの訴えがあるのに、どうするつもりだ?」教頭はちょっと怒り気味である。島田がいいように言ったに違いない。
『いや、だから、島田先生にはその生徒に自分のところに直接言いに来いって伝えました』

「それで生徒が来るとでも?」
『来るんじゃないですかね?』

「来なかったどうする?」
『言うほどのことでもなかったんじゃないですかね』

「何をふざけとるんや! そうやって、問題があることがわかっていて、放置するからいけないんだろうが」
教頭の語気が荒くなった。
佐々木は怒りの余韻をひきずったままであったが、急に冷めて(やばい)と感じた。

「事態の深刻さをわかっているのか?」
『いや、、、、わかってます。』

「わかっているのに、動かないのか?」
『いや、だから、島田先生が・・・』

「生徒指導はその場でやるから意味があるんだろうが! 君がやっているのは、問題を先延ばしているだけだ」
『・・・はい。そうかもしれません』

「じゃあ、どうするんか、言ってみろ」
『・・・その、、、不公平に対する部分を指導します。』

「具体的にどうやるのか、言ってみろ」
佐々木は答えに詰まった。



佐々木は職員室に戻ると島田に向かって言った。島田の顔を見ると、怒りが再び沸いてきた。
『先生、いちいち教頭にチクったんですね。直接言えばいいのに』
「だから、言ったじゃないですか。先生が動かないって言うから」

『動かないって言ってないじゃないですか! 先生に頼んだでしょ?』
佐々木は大きな声になっていた。怒りが含まれている。
そのせいで、職員室中の注目を浴びている。

「生徒は言えないから、ぼくのところに相談に来ているわけじゃないですか。
そもそも、生徒指導の基本はすぐに動くですよ。先生、全然動きないじゃないですか」
『誰がそんなこと言いましたか!? あんたが偉そうに言っているから、こっちが動きたくても動けないんですよ』

もうめちゃくちゃだ。佐々木の中にあるのは、ただただ怒りだ。自分ががんばっているのに、生徒は全く認めようとしない。
教師たちはみんな島田の肩を持つ。俺だって、やっているのだ。

「先生、それはいいわけでしょ? 生徒のことを思うんなら、まず動くべきですよ。もしも、これが仮に自分の子どもだったらどうしますか? 放置します?」
『子どもいないんで、わかりませんけどね。』

「じゃあ、恋人だったら?」
『人のプライベートにいちいち口を挟まないでもらえますか?』


「答えをはぐらかしているだけじゃないですか。」
島田は至って冷静だ。声も落ち着いている。
『そうやっていちいち偉そうにいうから、こっちもやる気なくなるんですよ。何様ですか? いっつもいっつも』

「もうやめんさい!」有田が割って入った。
「そうやって、言い訳したり、人のせいにしたりするから、学級がうまくいかないんでしょ。先生も大人なんだから、理解しないと。もう言い返したらだめ。」

次回 → 第212話 またまた思い知る