第212話 またまた思い知る | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第212話 またまた思い知る

有田が爆発した後、職員室は元通り、寒々しい雰囲気になった。
佐々木は言いたいことが言った分、すっきりしたが、言い過ぎたと反省した。怒りに任せて言ってはいけないことを言ってしまった。
有田が止めていなければもっと悲惨なことになってしまったかもしれない。

島田はその後、佐々木には何も言わずに、そこそこに仕事をして帰っていった。
職場の違和感もあり、気を使って帰ったのかもしれない。
島田が帰った途端に、有田と赤井から説教された。



島田は生徒のために動いているのに、佐々木が動かないのはおかしいし、島田に当たるのもおかしいと。
言われてみればその通りだった。

島田はわがままな佐々木のために、いつも協力して助けてくれていたのに、おかしいと帰り際の河野にまで言われた。
みんなが島田の肩を持った。

たまらずに佐々木は言った。
『みんな、島田先生の味方なんですね。』
有田はため息を漏らした。
「誰の味方とかじゃないよ。我々は生徒のためなんだから、そこの部分で先生の対応がまずいってだけなんよ。もう、先生、理解せにゃだめよ」

『でもね、そうはいっても、あの人は臨採で、ぼくは正採ですよ。』
島田に勝っている部分はここしかない。

「いや、、、島田先生はただ試験を受けてないだけで、教師としての力は立派に持ってますよ。それよりも、先生の考え方は偏見だし、差別だよ。それは言ったらいけないよ。同じように生徒ために働いているのに、偉いとか偉くないとか考えたらいけないよ」
「だから、うまくいかないんよ」赤井が怒りながら言う。
今の発言は相当まずかった。




その後、校長に呼ばれて、二度とあんな風に言ってはいけないと、指導を受けた。

時間が経てば経つほどに、自分がしでかしたことに大きさがわかってきた。
自分がやったのはただ単に、良きアドバイザーである島田に八つ当たりである。
しかも、自分が生徒指導をしないことを正当化し、差別的発言をして、自分の人間性まで落としてしまった。


・・・恥ずかしすぎる。


また、島田がいかに職場の人間に支持されているか、そして、自分が職場ではいかにだめなやつと評価されているのかを痛切に感じた。
島田は一人前教師であり、自分は指導力不足教員である。

だから、学級がうまくいかない、生徒ともうまくいかない。
最悪の気分だった。

いつも、いつも、ちょっとしたことで気持ちが大きくなったり、怒りモードになったりして、やらかしてしまう。
生徒に落ち着けと言っておきながら、自分ができていない。
そういうところを生徒は冷静に見抜いているのかもしれない。

そして、都合が悪い時だけ、反省している。

次回 → 第213話 荻原と愚痴