「学級崩壊と再生の物語」について解説と言い訳 | t-labo(中学校教師の支援サイト)

「学級崩壊と再生の物語」について解説と言い訳

「学級崩壊と再生の物語」ということで、書き進めてきて215話に到達しましたが、結論から言えば、1年目に学級は再生しません

本当は1年目で学級崩壊して、再生するところを目指していましたが、佐々木君を頭の中で動かしながら「あ~無理だな」と感じたわけです。
拙い話で「こんなことあるの?」と思われている方もいると思いますが、実際に経験した、見た、聞いた話、もしもその後こうしていたら、を元に構成しています。
この辺は学校差、地域差によるものだと思います。

また、ストーリー的に生徒のとのやりとり、指導の内容などを省くなどしており、何をどのように見るのか、というのも難しい場面もあったかもしれません。
ただ学級崩壊のポイント、指導のポイント、やるべき点などについては意図的に触れてます。
ということで、ちょっとした解説と言い訳をここに書きたいと思います。


1.佐々木の人物像

新規採用1年目で学級崩壊を起こしてしまう佐々木先生。
どんな人物像でしょうか?

もともとは人が良い人で穏やかな性格です。
他人にも(自分にも)厳しくなく一緒にいて居心地のいい人物です。
ここの部分で、生徒には厳しくできないでいます


というのも、完璧主義というよりも、いい加減に生きてきた部類であり、他人は他人、自分は自分と考えています。
生徒は生徒であるので、そんなのは自分でやればいいじゃないか、とも思っています。
教師は生徒の世話を焼くのが仕事であるので、佐々木君の心情では、仕事と心のバランスが悪く、弊害を起こしています。

また、教師に必要な人を育てる、という視点もありません。
言われることだけをやってきた人間なので、この先どういうことが必要なのかも自発的には考えられません
だから対応がいつも後手に回り、その場限りの発言をして生徒や教師からの信頼を失っていきます。


真面目に生きてきた人間なので、教師の言うことは絶対と育ってきました。
その考えがあるので、教師の言うことを聞かない生徒には面食らってしまってもいます。
自分の生き方と多くの生徒の生き方に食い違いがあり、そのギャップを埋められずに、歩み寄れずに苦戦しています。


生徒への愛がないと困惑する彼ですが、誰かに執着する、愛おしく思う経験が不足しており、生徒と自分であれば、自分を優先する人間です。
現段階での話ですが。
そのため、生徒は愛を持たない佐々木先生には近づいてきたくありません。傷ついたり、見捨てられたりするからです。
その一方で、愛情全開なのが、平川先生です。だからこそ、彼女の学級はうまく回っています。

佐々木先生は、人生経験が圧倒的に不足しており、おまけに人生の厚みも少なく生きてきたので、教師として知識、経験、器などが圧倒的に不足しています

ですので、1年目で再生はやはりできないと思います。大きなショックを受けて、そこから死に物狂いで這い上がろうとしないかぎりは、学級崩壊は続いていくわけです。
2年目の彼に期待したいですね。


2.島田の人物像

島田先生は、学級崩壊したクラスをすぐに立て直しました。若いのにとても優秀な教師です。
彼は教師の仕事が何であるかを理解しており、その覚悟のもとに職務にあたっています。
ここが佐々木先生との根本的な違いです。

ですので、生徒に何を求めるべきか、保護者への接し方、仕事のやり方、担任として、落とし所をどこにするか、などを習慣的に考えています。だからこそ、場当たり的な指導はしません
もちろんのこと、生徒への愛があり、思いやりがあり、生徒のために行動できる人間です。


また、彼の経歴には触れられていませんが、彼は臨採として他の学校で学級経営を勉強し、同じ学年団の中の学級崩壊するクラスやうまくいくクラスを間近に見ています。
もちろん、その時にはとても苦戦して苦労しました。
彼の偉いところは、そういったケースをきちんと観察し、「自分だったらどうする?」と常に考え、その時の学年主任に「どうやったらいいですか?」と常に聞いています。
そうした努力の積み重ねが神無月中の赴任に生きています。

また常に「どうやったら楽しくなるか」「どうやったら教師たちが楽になるか」というスタンスで考えているため、生徒から支持され、教師からも支持されています。


3.神無月中はどうして崩壊するのか

そもそも、神無月中にはヤンキーがいません。授業中に誰もろう下を徘徊しないし、金髪もいません。バイクもやってきません。
ショッピングモールなどから「生徒が来ているから迎えに来てくれ」という通報も来ません。
実は至って平凡な学校なのです。

その平凡な学校ゆえに、そこそこの教員が集められて、なんとなく学校運営を行っているので、うまくいかなくなったのです。つまり、人災です


島田先生が学級立て直しを見て違和感を覚えた人がいると思いますが、神無月中の生徒の根は優しいのです。
生徒が抱えるフラストレーションや非常識な部分を適切な方向に導いてやりさえすれば、うまくいく可能性は高いのです。

そもそも、学級経営がちゃんとできる教師が行えば、学級は再生します。
力量不足の教師が担任をすれば、いつでも学級崩壊するのですから



もう少し補足をすると、校長と教頭が役に立ちません。
校長は事なかれ主義であり、教員と関わろうとしません。だから、責任は取りたくないし、さっさと帰ります。

教頭は四角四面にしか捉えられない人です。
こういうタイプは数字には強いのですが、人間関係はうまくいきません。ので、教員時代は担任としてうまくいっていません。
なんでも規則や規範に囚われ、融通が利かない、利己的であるので、教員から反発を生みます。
彼自身、現状を困っているが、対人関係のスキルが低いのでうまく対処できないでいます。

だからこそ、自分の仕事をやればさっさと帰るのです。

ですので、神無月中の抱える一番の問題は人災です。


4.学級崩壊させないためには

平川、島田のように行動し、荻原、佐々木のようには行動しないこと

これに尽きます。
ポイントを上げておきます。

1.ルールを厳守する
2.ルールは生徒も教師も受け入れられる効率的なものにする
3.人を傷つける行為は絶対に許されない
4.教員団と連携をする

5.嘘をつかない(だからといって、何でも正直答えるのとは違う)
6.その場限りの発言はしない
7.1年間、3年間を考えた言動や指導をする
8.授業に情熱を持って望む

9.楽しむこと
10.不平不満を溜めるのではなく、上手に変換すること
11.生徒指導はわかった瞬間に動くこと
12.生徒のことを信頼すること

13.生徒に積極的に仕事を与え、任せる
14.生徒のことをほめる(>叱る)
15.保護者を責めず、味方にする
16.手をかけるほど学級は成長すること

17.生徒とのコミュニケーションを大事にする
18.生徒に愛情を持って接する
19.環境が生徒を変えることを理解する
20.教師がいなくてもうまく回る仕組みを構築する


という感じです。それは本編で散りばめられていると思います。
荻原先生は全然だめです。
佐々木先生は、島田先生から言われた時はやろうとしますが、生徒の反対などによって負けてしまい、元の木阿弥になってしまっています。


最後に

学級崩壊するときには原因があり、その原因は担任にあると考えないかぎり解決しません。
生徒に原因があると考えても、生徒は変わってくれないからです。

担任が力量をつけて、生徒に接するからこそ良い方向に動いていきます。
一人前の今日になるためには、どうしてもこの力を身につけなければなりません。
身につけないかぎり、いつも苦しみ、他の同僚から白い目で見られ苦しい教員人生を歩むことになります。

今後も学級崩壊と再生の物語を続けていきますので、どうぞよろしく!