第216話 来年のための準備 | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第216話 来年のための準備

「現状を受けて、生徒指導部は学級崩壊を食い止めるために研修会を開くことを提案します。」
有田が運営委員会の中で発言した。

「教育委員会の生徒指導担当の先生とも相談しました。その結果、学級崩壊した学級の要因、学級経営がうまくいった学級の要因を明らかにせよということになりました。
で、言いづらいのですが、うまくいっていない学級として佐々木先生と荻原先生の学級、うまくいった学級として平川先生と島田先生の学級を用いることにします。」



もともとの発端は、教育委員会にいる土井の夫が、土井に「おい、お前の学校かなりやばいらしいな」というところにある。
神無月中の保護者からかかってくるクレーム電話の多さや学校としての対応の不味さ、いじめが起きていることなどが、教育委員会内で噂になっているそうだ。
これにプライドの高い土井は激怒し、校長に『どうにかしろ!』と文句を言ったのだ。

校長も押され、有田と相談し、教育委員会の生徒指導担当と連携した結果、有田の発言につながっている。
土井は自分の仕事ばかり見ており、荻原や佐々木のクラスのことは関心外にあった。
しかしながら、教育委員会からの評判が悪いとなると絶対に許せないのである。

有田としては個人攻撃になるような気がして嫌だったが、案を受け入れざるをえなかった。
つまり、学級崩壊しているクラスにはその原因があり、その原因を突き止め、その改善のために学校として努力せよ、というわけである。
佐々木や荻原にとっては針のむしろになる時間である。


とはいうものの、佐々木や荻原に対しては支援をしてきたつもりであったが、本人たちに改善の気持ちがあまり見られず、同じことを繰り返しそうである。
その原因を自分にあり、そのやり方を見つめ、いい方法を取り入れることは絶対に必要とも言えた。




まずは学年会で要因を検討することになった。もちろん、佐々木は精気がなく、嫌そうな顔をしていた。

流れとしては、島田の学級で取り組んでいることを挙げて、それに対応する形で佐々木のクラスをまとめた。
明らかになったことは、島田と佐々木の取り組みは対照的であることだ。

島田は継続的な取り組みを行っているが、佐々木は行っていない
島田はクラスのルールを守ることを絶対としているが、佐々木はなあなあでなるように任せている
島田は生徒だけで物事が回るように仕組んでいるが、佐々木はそうしていない。教師ががんばらないといけない。
島田のクラスはきれいであるが、佐々木のクラスは汚い

など、数多くのことを真反対であった。それは見ながら赤井は
(こんだけ取り組みをしてなかったら、クラスが荒れるのは当然よね)としみじみと思った。
佐々木は何を感じているだろうか、もはや疲れ果てているだけのようにも見える。

2年生でも結果は同じだった。
学級が崩壊する要因に、教師の指導の細かさは欠かせないのは明らかだ。

次回 → 第217話 学級編制と人事発表