第217話 学級編制と人事発表 | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第217話 学級編制と人事発表

2月、3月の状況は悲惨を極める結果となり、ここでは書かない。
学級崩壊を抑えられない状況が続き、保護者の力を借りながらの運営となった。
卒業式が終わると、1,2年生は来年度のクラス替えの準備に入っていく

短縮授業になり、放課後は教員が集まっては会議を持つ。
感の良い生徒は来年のクラス替えをしていると気づく。



朝、佐々木が学級に上がると、神田が話しかけてきた
「おい、来年のクラスはどうなっとんや? まさか、お前が担任じゃないだろう? 頼むけえ、島ちゃんのクラスにして!」
おれも、おれも賛同の声が上がる。その一方で、
「頼むから、お前は2年生にこんといてくれ」と言われ、「てか、仕事辞めたら?」とまで言われる始末だ。

小学校では朝担任が上がってくると「帰れ」コールの嵐だったと聞いている。

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一方、島田のクラスでは
『お願いだから、先生にクラスにして。佐々木先生は絶対、絶対、嫌!!!』の嵐であった。
島田は「そもそも、ぼくが来年この中学校にいるかもわからんのんで」と答えていた。

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午前中で授業は終わり、午後は学級編制作業の時間である。
生徒たちを「問題行動」「リーダー」などといった項目でバランスをつけながらわけていく。

佐々木は相変わらず1学年の中では浮いていた。
島田に暴言を吐いたことも、謝れていなかった。その気まずさをずっと引きずっていた。
あの時から、気持ちは沈みっぱなしで、自尊心はぼろぼろだったのもある。

佐々木はクラス編成の作業をぼう~っと見ながらつぶやいた。
『ぼくは来年も担任なんでしょうかね・・・? 2年生に一緒に上がるんですかね・・・?』
考えれば考える程に憂鬱になった。

「まあ、大抵はそうよね。ただ、、、どうかね、今年の状況を見て校長がなんと判断するかかな。」と有田が答える。
それを聞いて、佐々木はショックを受けた。
なんとかごまかし、ごまかしやってきたのに、4月からもあいつらと一緒に生活なんてつらすぎる・・・。

『だったら、、、、このクラス編成ではだめですよ。また同じになりますよ。うちのクラスは問題行動のない生徒にしてください!』
「先生、そりゃ、やり過ぎよ。クラスのバランスが悪すぎる。それに誰が2年生の担任って決まったわけじゃないしね」

『いやいや、、、いまやっておかないと! これだったら絶対ダメです。今変えておかないと、新年度になったら、そんなの知りませんで流されてしまいますよ!』
佐々木の目は怯えている。とはいえ、佐々木の要求はめちゃくちゃだ。
「先生の気持ちはわかるけど、誰が持ってもいいようにバランスは整えておかないとだめだから。もしも、嫌なら校長に2年生はやめてほしいとお願いしたらいいよ」

有田は正直なところ、佐々木と同じ学年は嫌だった。しかし、佐々木を避けられたとしても小規模校ゆえに、荻原と同じになるだろう。これも嫌だった。
ため息しか出ない。




人事発表があった。
病休に入っている己斐が転勤になった。4月から心機一転、新しい中学校でがんばりたいそうだ。
家庭科の名倉も転勤になった。

それだけだった。
教員団の心境は、校長、教頭、佐々木、荻原の転勤を願っていたが無理だった。
土井が言っていたことを思い出す。
「佐々木先生や荻原先生の学級崩壊や保護者が学校に来る事態になったのは、もうすでに人事が動いてしまったあとくらいの話だから、多分、人事には影響しないんじゃない?
普通、この状況だったら、テコ入れ人事で優秀な人が来るはずだけど、時期が悪いよね。だから、来年はもっと苦しいかもね」


で、驚いたことに、
「新規採用の先生が来られます。島田先生です」
これには一同驚きだった。とともに、拍手が起こった。

島田曰く、やりたいことをやったから、そろそろ教員として腰を落ち着けてがんばるとのことで、こっそりと教員採用試験を受け、合格していたのだ。
その結果さえも黙っていたのだった。
島田は己斐の代わりだ。一説によると、校長がどうしても島田をうちの学校に欲しいとお願いしたらしい。

名倉の代わりに、秦という女性の教員が来ることになった。
新規採用から2年目だそうで、佐々木の同期に当たる。

「初任校を1年で転勤!? なんかあったんかね?」
秦への興味はその一点だった。
この人事を受けて、土井は「来年も大変になるのか」と溜息をついた。

次回 → 第218話 校内人事発表