第228話 学級開き | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第228話 学級開き

就任式の後は各学級で学活だ。
1年生は保護者がずらりと後ろに並ぶ。
佐々木は去年を思い出し、嫌な気持ちだった。

参観日を始め、保護者に見られるのは落ち着かない。



佐々木の作戦はたくさんある配付物を時間をかけて配ること。ゆっくり、ゆっくりと。
そうすれば時間もつぶれ、自分があまり話さなくていい。
たくさん話しをしても意味はないのだ。

佐々木は考えたとおりに実行した。
最初の話は「仲良く」「ルールを守る」「勉強を頑張る」とかありきたりのことを言った。
保護者の中にはビデオ録画をする人もいた(最近、増えている)

生徒は保護者がいるのもあり、態度はそれほど気になることもなかった。
あとはだらだらとプリントを配付する。
配付途中で無事にチャイムが鳴り、残りを急いで配り、号令をかけた。


佐々木は(ふう、初日は無事に終わった・・・)と思っていたが




そうではなかった。生徒はこれで解散になったが、保護者に取り囲まれることになった。
「先生、学級は大丈夫なんですか? 先生は去年も学級崩壊したんですよね?」
と直球に言われた。

『どうして石神君の担任何ですか? 彼のせいでもうぐちゃぐちゃだったんですよ』
「大丈夫なんですか?」
昨年度の、そう今年1月から3月は保護者が中学校で巡回をしていたこともあり、小学校の保護者にも情報が回っているようだった。

神無月中はぐちゃぐちゃ、学級崩壊が起きているのはもちろん、荻原や佐々木がいけない、などと名指しでの情報が回っている。
という状況であるので、佐々木が担任とわかり、保護者は激しく落胆していた。
小学校の学級崩壊は毎年のことだが、中学校に行けば落ち着いた生活ができると思い込んでいたのだ。

であるので、お金や学のある子たちは私立受験をする。
そうして、小学校でクラスを支えた優等生たちが抜けて、中学校では人材不足に陥るのだった。
今残っている優秀とされる生徒たちは受験失敗組か、地元の公立中学校でやると決めた生徒のどちらかだ。


佐々木は保護者に詰め寄られても返す言葉がなかった。
『頑張りますから』
というだけで、精一杯だった。

1年2組の秦の学級でも同じようだった。

※ 指導のポイント


(1)保護者の期待に応えられるように準備

佐々木のような状況であれば、当然ながら保護者から直接聞かれるだろう。
「学級は大丈夫?」という思いは保護者であれば誰でも持っているもの。
それをいかに安心させるかが担任として必要なこと。

最初に安心感を持ってもらうか、「何この人?」と不信感を持たれるのかでは、大きく違う。
同じことが起きても捉え方が違うのである。
だからこそ、「任せてください!」と言えるようにしよう

次回 → 第229話 秦の暴走