第232話 島田と荻原の学級開き | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第232話 島田と荻原の学級開き

さて、入学式、始業式、就任式の後の学級開きの様子を見てみよう。
保護者が来るのは1年生だけであり、2,3年生は来ない。
年度始めの日は保護者は別にワクワクもしない。

2,3年生の楽しみは、誰と一緒のクラスかだ。
仲の良い友人と離れた生徒は大げさな場合は泣き出す。
実際にところ、ショックは最初だけで、新しい人間関係の中でうまくやっていくものだ。



島田は3年1組。1年と2年は同じ3階だが、3年生だけは独立でしかも2階と近い。
ろうかに生徒は出ておらず、席に着席していた。
『ごきげんよう~』と平川が手を振っている。

島田が教室に入ると空気が引き締まり、教室内に緊張が走る。
島田と3年生は、授業にも出なかったのでほぼ接点はない。
お互いに間合いを図っている感じだ。

いじめの主犯で一番の問題生徒は平川が引き取り、その代わりにいじめられっこの山中を引き取った。
(東がいないから、誰も噛み付いてはこんだろうな)と島田は思っていた。


「初めましてだね。みんなとは授業もなく縁もなくで、どうなるかなと緊張していたんだけど、教室に入って安心したよ。
ビシっと席についていてうれしいね。
最高学年の自覚と力がちゃんとついてきた証拠だね」

その後は簡単に自己紹介を行ったあと、大事なことだとして話をした。

「ぼくが大事にしたいのは、楽しい学級にすること。
この楽しいは、一部の人じゃなくて、全員。
だから、誰かが誰かを馬鹿にして楽しむのは、なし。

人を馬鹿にしたり、傷つけたりするのは絶対に許せない。
その時には指導するよ。譲れないところ。
みんなには、どうやったら、みんなが楽しく過ごせるかを考えて過ごしてもらいたい」

島田は長話はせずに、配付物を配り、時間割を確認して終わった。




一方、荻原。
式最中から2年生は落ち着かず、嫌な予感は的中といった形だ。
『なんか嫌ですよね・・・』隣に歩く川島に話しかける。
「まあね。2年生だもんなあー」と川島もテンションは低め。

荻原は1組、川島は2組の担任。
菊野は川島が引き取った。荻原にしてみれば、山本や荒川、向井の方が組みやすいと判断した結果だった。


重い足取りでも、やはり教室には着く。
2年生は熱心にろう下で新しいクラスに批評しているようだった。
「教室に入れよー」と川島が声をかける。それに習い荻原も声をかける

仕方ない、という感じで生徒たちは教室に入った。荻原も続く。

荻原がしゃべろうとすると、甲本が早々に発言した。
「なんで先生が担任なん。嫌なんじゃけど」
この一言で火がついたように、生徒たちは「荻原は嫌だ」「島ちゃんが何で担任じゃないのか」「せめて川島がいい」などと好き勝手に発言し始めた。

『この人事については校長先生が決めたので、俺は知らん。文句があれば校長先生に言え』
「もう人のせいかよ」と荒川が言う。

『人のせいってそんなもんなんよ。子どもにはわかるまい』
「てか、3年生にあげれもらえんかっただけでしょ。」と向井が図星を突く。
『留年か』と山本が馬鹿したように言う。

ずっとその調子だった。
荻原が何か言えば、誰かがバカにしたように発言をする。
話は一向に進まない。

(ま、いっか。時間がすぎれば)

3年1組はある意味では反応がある明るいクラスかもしれない。
ただし、担任がうまくコントロールできるかが問題だ。
次回 → 第233話 川島の学級開きと小川の感想