第235話 苦戦、苦戦 | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第235話 苦戦、苦戦

2日目の2年生。
朝読書の時間から荻原の1組は騒がしかった。
本忘れが多発し、私語が目立った。

生徒の態度は「荻原だから何やってもオッケー」そんな感じであった。



今年度から生徒指導のマニュアルができており、朝読書は私語をさせない、本を忘れたら家に電話するなど決まっている。
「おい、ちょっと静かにせいよ」と荻原が注意しても、静になるのは一瞬だけでまた賑やかしくなるのだった。

『今は朝読書中でしょ!』土井が入ってきた。
教室が静かになる。
『今年度から、朝読書できていない時間は帰りのSHRで行うことになったから、今できてない分は放課後だね』

「ええーーーそんなん聞いてないし!」と甲本が声を上げる。
『聞いてなくても、朝読書をするのは当たり前です』


方や2組。
1組の騒がしさとは打って変わり、こちらは妙な雰囲気だった。
菊野は相変わらず不機嫌そうで、妙な雰囲気の元凶だった。

だからといって、菊野や神田が読書をするかといえばしない。
「おい、朝読書ちゃんとしろよ。今年度からしなかった生徒がいたら、帰りのSHRでやるんじゃけのう」と川島が言う。
『ええ~~』と生徒の声が上がるが無視だ。

「5分経過。でも、読書はできてないな。誰がやっていないせいかな?」と生徒に言う。
生徒たちは見回すと菊野であることはすぐに突き止めたが、怖くて、直接注意はできない。
菊野は川島をずっと睨んだままだった。

直接注意をしてこない川島のやり方が、菊野の癪に障ったのだった

「先生、ちゃんと注意しないと。まだ2日目なんですよ」と荻原は土井にしつこく注意された。
(これが毎日続くのか・・・)荻原の気持ちは暗い。



この日は給食はまだなく、午前中で終わる。
オリエンテーション期間であるので、学活が中心で、掃除や給食の説明、学級写真を撮るなどする。

『最初の1週間でしっかりしつけるんだ!』と荻原は自分に言い聞かせてはいたが、そう簡単にはいかなかった。
やることはたくさんあるのに、いちいち生徒が私語をしてうるさくなる。
私語の注意をすれば時間がかかるが、注意しなければうるさい。

『おい、いいかげんにしろよ!! 黙って話が聞けんのか!!』と怒ってみたが、
「できませーん」と甲本が言い、「お前がうるさいんじゃ」と山本が言う。

もうすでになめられている。
というのも、去年から理科の授業を担当しており、最後の最後まで授業が崩壊していたからだ。
生徒はわがままが通るものだと思っている。

(うわ・・・最悪・・・。もう放っておくか)

『背の順を作らないといけないから、やって』と言うと、生徒は一斉に動き出した。
私語をしていても聞いている部分はちゃんと聞いていたりする。
身勝手なのだ。

「おれが高い」「いや、俺の方が高い」などと言い合い、背の順さえもなかなか決まらない。
女子は割りと早く決まり、おしゃべりに夢中だ。
そうこうしている間に、チャイムが鳴り、なし崩し的に休憩時間となった。


「ねえ、先生。給食分担表ってないの?」と小川が荻原に話しかけた。
『ないよ。いらんじゃろ。班の中で決めりゃいいじゃん』と答える。

「あれあった方がいいよ。その方が絶対に早いし、男子なんてこの調子だったらめちゃくちゃよ。島ちゃんにやり方を聞いたほうがいいよ」
島ちゃんとは島田のことだ。
小川は昨年度、島田のクラスでリーダーとして活躍していた中心の女子生徒だ。

荻原も頼みにしている生徒だ。
そんな小川から、島田に聞いた方がいいよと言われるのはショックだった。
(おれって教師って思われとるんか?)
そう思わずにいられなかった。

次回 → 第236話 ありえない衝撃と荻原の決断