第239話 委員決めと予想外の展開 | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第239話 委員決めと予想外の展開

さて、学級役員を決める時間がやってきた。
岡本が代議員に立候補するかについては、島田は確認をしてなかった。
言うことは言ったので、あとは本人の意識の問題だ。

そもそも、こちらが声をかけ1回で動かない生徒には、強い動機もないし、その結果として責任感もない仕事をしがちだ。
また、他にも代議員が出るかもしれない。
その時には、決選投票になる。



チャイムが鳴り、号令がかかり、島田は説明を始める。
「この時間は、予告通り、学級の委員と係を決めます。さっそく、委員決めから行きます。」
といって、島田は黒板に、代議員、生活委員、文化委員、保健委員と書いて表にした。

「それぞれ聞いていって1名の立候補しかなかったら決定。2名以上の場合は、みんなの前で一言話してもらい、投票で決めます。投票はぼくが集計して、どちらになったかだけを発表します。いいかな?」
クラスに緊張が走る。誰がどこに立候補するかが気になるのだ。

「まず、代議員になりたい人」

『ハイっ』と勢いよく手を挙げたのは木本だった。
クラスがざわめく。
それもそのはず、木本は去年の学級崩壊の中心メンバーの1人だったからだ。

ただ、今年度に入ってからはまじめにやっている。東とクラスが別々になったのも大きかったかもしれない。

「はい」

ざわめきの中で手を挙げたのは岡本だった。
これにも少し反応があり「おおーー」という声であり、反応の中心はだった。
否定的な響きではなく、予想外の立候補であり、肯定的な響きだった。
岡本は顔立ちもよく、男子に人気があった。


「他にはいない?」

島田は内心、ドキドキしていたが、平然を装っていた。
誰も反応がないので
「じゃあ、2人に決定!」

その後は、委員も係も順調に決まった。




「あの、、、去年は本当に迷惑かけました。すいませんでした。3年生になったからって言われるかもしれないけど、頑張りたいと思って、代議員に立候補しました。よろしくお願いします」


一瞬、クラスが「えっ!?」となった。
委員の就任一言あいさつで、木本がこんなことを言うとは誰も予想していなかった。
そして、クラスは大きな拍手に包まれた。

この木本の立候補も、実は島田が推していた。
本人は学級崩壊してみんなに迷惑をかけたという反省があるようで、代議員になりたくないといっていたが、島田の話を聞いて翻意したようだった。
続いて、代議員女子の岡本のあいさつ。

『私も、去年はみんなに迷惑かけました。悪口もたくさん言いました。ごめんなさい。すごく反省しています。
ある人の言葉で、変わりたい、努力したいと思いました。代議員としてみんなのために、がんばりたいと思います。よろしくお願いします。』
岡本の言葉も意外であったが、生徒たちは真剣に聞き、大きな拍手を送った。


不思議なもので、2人の言葉に触発されたように、後の委員たちも去年の反省を述べたのだった。
みんなが真剣に聞き、大きく拍手をしてくれたからかもしれない。
(すごいなあ・・・)と島田は聞きながら、鳥肌が抑えられなかった。


*********

島田は木本にも声をかけたのは理由があった。
去年の彼は知らないが、今年の彼は積極的に声が出せる、この点が魅力だった。

代議員はクラスの顔でもある。
だからといって、真面目な生徒がやればいいわけではない。
代議員に求められるのは、大きな声が積極的に出せることだ、と島田は考えていた。


そもそも大事なのは、生徒への影響力であり、その源泉は声かけにある。
放っておいても声かけを自発的にする生徒こそリーダーである。

その際に、去年の行いはどうでもいい。大事なのは今であるし、問題行動があるのであれば、担任がコントロールしてあげればいい。
いい人間関係さえできれば、生徒も協力してくれるようになる。
また、問題生徒を敵としておくのではなく、味方に引き入れるのである。クラスが一気に安定する。

次回 → 第240話 代議員の奮闘と後日談