第240話 代議員の奮闘と後日談 | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第240話 代議員の奮闘と後日談

3年1組は予想外の2人が代議員になったが、2人の仕事ぶりは順調だった。
やはり、しっかりと通る声が出せたのが大きかった。
(毎年、声の大きさで選べばいいんじゃない?)と思う島田だった。



とはいえ、放置してはいけない。
朝と帰りのSHRの司会、号令、点呼、整列の時の声かけなど、仕事があるが最初はひよっこ。
きちんと巣立つ時まで、しっかりと面倒を見るのが担任の仕事だ。

代議員が帰りのSHRを初めてこなした時には、「立派に出来たね。よかったよ」とみんなの前で声をかけた。
またクラスにも「君たちが協力してくれるから助かるよ。」と代議員を応援するように仕向ける。

とにかく自信をつけさせ、クラスがうまく回るようにしていく、これが大事な仕事だった。
相手は子どもなのだから。

木本は学力が低いせいか、ポカが多かったが、彼が「てへへ」と笑うのはかわいらしくクラスが和んだ。
岡本は思った以上にしっかりしており、とげとげしさは消えていた。時に、思ったことズバッと島田にいいクラスを沸かせた。

クラスにも変化があり、去年はちょっとした不満や面倒さといったものが口撃に変わっていたが、それらはちょっとした笑いや「まあ、やってみるか」といった前向きな気持ちで乗り越えていった。
島田はそうした矛先や言い方、捉え方を変えるのが巧みであった。




1,2週間もすると、参観日があり、そのあとには保護者と懇談会である。
島田の学級も平川の学級もうまくいっており、保護者は大満足のようだった。
懇談会が終わった後で、ある保護者に呼び止められた。

岡本の母だった。
『先生、いつもお世話になっています。岡本亜里沙の母です。
先生のクラスになってから、亜里沙が「すごく学校が楽しい」って言ってくれてます。今までは毎日学校での悪口ばかり言っていたのがウソのようです。
あの子は言わないでしょうけど、「今までめちゃくちゃやっていたのに、そんなことで差別しないで今のがんばりを見てくれた」ってすっごく喜んでました。本当にありがとうございます。進路もよろしくお願いします』


岡本母の言葉を聞いて、島田は「ああ、よかったな」と心底思った。
学校というところは、なんらかの要因で、自分をうまく表現できなかったり、正当に評価されなかったりすることがあり、本人は悔しがっていることは多い。
その気持ちが見えるか、見えないかで大きく違いがある。

気になってかけた一言が「すごくうれしかった」と本人が思うこともある。
すべての生徒が適切な場所で活躍できる、認められる、そんな学級運営ができたらいいなと思う島田であった。

※ 指導のポイント


(1)今のがんばりを評価しよう

生徒が嫌うことは、過去のことをいちいち持ち出すことや、誰かと比較されること。
これは教師の癖になっているのではないかと思う。

過去に悪いことやったからもうダメなのか?
そんなことはないわけで、子どもだからこそ、間違うことは多くある。
だからこそ、それらを乗り越えて、今をしっかりやろうとするわけである。

今のがんばりこそ、本当の姿である。と評価しよう。


(2)声かけの大切さ

学級にはたくさんの生徒がいて、誰が何を考えているのか、なんてすべてできるわけではない。
しかしながら、要所要所で声かけをして変わることもある。
そして、意外な一言が生徒に響くものだ。

そうなってしまえば、こっちのもの。
その生徒は、もう反発しないだろうし、話は保護者にも伝わり、保護者も協力的になるから。
だからこそ、常に生徒の顔を見て、気になれば声をかけてあげたい。

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