245話の指導ケース~生徒からの情報は匿名で指導に徹する | t-labo(中学校教師の支援サイト)

245話の指導ケース~生徒からの情報は匿名で指導に徹する

第245話 情報源の指導ケースをここでは検討します。
244,245話の概要なこんな感じでした。

・誰かが黒板に盛大に落書きをし、チョークなどを床に散乱させた
・担任が発見し、誰がやったかを聞いても誰も何も答えない
・猿田(男子生徒)が担任に「黒井と近場」がやり、その光景をたくさんの生徒が目撃しているとそっと教えてくれた
・黒井と近場に聞いてみると「やってない、知らない」の1点張り


という状況です。さて、あなたならどのように指導しますか?
そもそも、どんなミスがありましたか?



1.複数の情報源を確認する


猿田が言ってきたことは、おそらく本当に違いない。
「みんな見ていた」と猿田が言っているので、他の生徒にも当たり、情報の信憑性を確認する方がいい。
というのも、生徒の情報は不確かなこともあるし、犯人が他にもいた可能性もあるから。

その時には、もちろん、クラスの信用できる生徒をこっそり呼んで話を聞くべきである。
「黒板の落書きをした犯人を見てたんじゃない?」と。
1対1であるなら生徒も教えてくれる。
「絶対に名前はばらさないから」と約束する必要もある。

犯人の指導をするためにも、詳細な情報を聞き出しておこう。


2.粘り強く指導する


犯人生徒を呼んだならば、冷静に話をしよう。
秦は最初から挑発的で、決めつけて話をしているので、生徒たちの感情的な反発を招いてしまう。

「聞きたいことがあるから呼んだんだけど」と優しく話しかけてみよう。
こちらが冷静であれば、向こうも冷静に対処してくれる。

少しだけシミュレーションしてみる

「黒板の落書きと床を汚した件で、何か知っていることないかね?」あくまでも冷静に尋ねる。
『いや、何も知らん』と黒井が答える。

「確認するけど、やってないって言えるかね」
『疑っとん?』

「問題があったんだから、調べるのは教師の役目でしょ。だから聞いているんよ。やった? やってない? どっちかね?」
『いや、やってないし』


こちらがあくまでも冷静なので、生徒も冷静に出るしかない。
しかも、生徒は嘘を付いているので、下手に怒れば嘘がばれるとヒヤヒヤしているので、こちらの出方を慎重に伺っている状態である。

「聞いた話だけど、朝8時◯◯分に、君たち2人が黒板に落書きをして、そのあと、チョークケースをひっくり返して、踏みつけていたって。これについてはどう?」
黒井と近場は顔を見合わせ、しばらく沈黙が続いた。

『それって誰が言ったん?』
「誰でもいいでしょ。」

『いや、よくないね。誰なん?』
「大事なのは、君たちがやったかやってないかでしょ。誰が何を言おうと関係ない。誰が言ったかを言ったら、君たちはその生徒に恨みを持つでしょ。そんなことはさせられない。
そもそも、クラスの大勢が見ていたらしいし、隣のクラスの生徒も見ていたらしいけどね。聞いてみたらわかるよね」

黒井と近場は沈黙したまま。


生徒は情報源を特定したがります。

が、絶対にバラしてはいけません。

当然ですよね。バラさないから、生徒はこっそりと教えてくれるんですから。

誰かを教えろ、と言われたら「君がやったかどうか」という感じで、焦点を話ししている生徒に修正しましょう。でなければ、話が進みませんから。

周りが見ているのに、最後まで嘘を貫き通せるか?
この場合の、黒井くんと近場くんはどう出るでしょうか?


3.大事なのはクラスへの指導


こうしたことがあったときに、クラスへの報告をうやむやにしてはいけません。
次のような狙いがあります

・教師が調査、指導をきちんとしたことを知らせる
・経過を知らせ安心させる
・生徒の問題行動を牽制する


だいたい人は、他人が怒られているのを見て「ああなるから、やめておこう」と学習するものです。
だから、こういうことで指導したなどと、生徒に話すのは生徒指導の予防につながります。

このときに、誰が犯人かどうかは言う必要はありません。
余計なトラブルが増えるだけです。

ちなみに、この時に
「見ていた人が情報を教えてくれてよかった。教室には正義があった」などと情報をくれたことをほめます。
「残念だけど、多くの人が見ていたのに、その人達はしらんぷりだった。そうやって知っているのに、何もアクションをしない人たちが、今回のようなことを助長している。」などと、残念なことを伝えます。

ぼくだったら、しつこく「万引きは見張りだけでも共犯になる」だとか「いじめでも、見て何もしない生徒がいるから収まらない。そういう問題があった時には、見ていて何もしない生徒も指導する」などと合わせていいます。


見ているだけの生徒は、無害なように思えますが、そういう生徒が嫌な雰囲気を作る元になり、かなり害があるのです。
多数決をとった時に、賛成にも、反対にも入れない人たちですよ。質が悪い。


4.もしも認めなかったら


多くの証言がある場合には、犯人も認めるでしょう。それでも認めない時には、かなり悪質ですから、保護者に電話します。
今後とも同じようなトラブルが続く予感があり、その時に保護者に電話したのでは「なぜ、最初に教えてくれなかったのか」と言われてしまいます。

「こういうことがあって、こういう風に話をしたんだけど、本人は認めなかった。
もしも家で、犯人だとみんなから決めつけられて指導されたと、本人が怒っているようだったら、教えてほしい。その時には謝りたい。

ただ、本人がそういうことも言わないようだったら、嘘を付いている可能性もあるし、今後が心配だから電話しました。このことについては、知っておいてもらうだけでいいので」

とかなんとか。
本人がそこまでして認めないのは情報が嘘かもしれないということ。もしもそうであれば、本人は家で不平不満を言うはずですから、保護者への説明とその場合には謝罪したい旨を伝えておけば問題が大きくはなりません。


まあ、、、暗に、「あなたの子どもは大嘘つきですよ。問題をまた起こしますよ」と警告しているようなものですけどね。


まとめ


生徒指導において、証言がある場合は楽に指導ができます。
ない場合は辛いので・・・。

生徒指導は、その本人や学級が成長するチャンス。そう捉えて、取り組めたら自然といい結果が出ると思います。
大変ですが、粘り強くやっていきましょう。