第251話 対応 | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第251話 対応

「あーむかつく!」
秦は学級懇談会が終わると、一目散に家庭科準備室に行った。
イライラが爆発しそうでたまらなかった。この学校で家庭科の教員は自分だけなので、ここは誰にも邪魔されない聖域だった。

「生徒指導とかどうでもいいし」つぶやいた。保護者から散々責められたので、ひとまず現実逃避をしたかった。
その頃、生徒指導室では指導が続いていた。



「君たちは猿田に暴力を振るったり、物を隠したりしたか?」
有田は直球で聞いた。
『何でそんなのを聞かれんといけんのんや。誰が言ったんや』と黒井が言った。

「本人にも確認した。沢井はやったんか?」と有田は一番まずそうな反応をした沢井に聞いた。
キッと黒井が睨む。
「いや・・・おれは・・・」と歯切れが悪い。

「やったんならやったって言いなさい。違うなら違うと言いなさい。でも、ウソはいったらいかんよ」
沢井は考えた末に
「おれは暴力は振るってない」と言った。黒井が顔をしかめた。

「近場はどうかね? やった? やってない?」
『やったかもしれんね。』と言った。

「黒井は?」
『かもね』

「じゃあ、認めたということでいいね。違ってたら今言っておいてよ」
返事はなかった。
やられた本人に確認しているので言い逃れはできないと観念したようだ。

ここからは個別に話を聞く。
佐々木は合流したが、秦は帰って来なかった。




聴き取りの結果、黒井と近場はずっと不機嫌で、自分たちがやったことは認めたが、発端の黒板の落書きうんぬんは認めなかった。
沢井は割に正直で素直に認めた。ただし、暴力は振るってないとのことだった。

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職員室で3人の話のすり合わせをしている時になって、ようやく秦が現れた。
「先生、何をしていたんですか?」赤井が聞く。自分の担任している子たちを放っておいて・・・と非難めいている。
『いやあ・・・保護者に呼び止められまして・・』としれっと答える。

「先生、生徒指導があるときには早めに切り上げるようにしないと」
『はあい』悪びれなく答える。

「どうするかね?」

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結論は、いじめという捉えで対応し、今日のうちに保護者を学校へ呼び出して、事情説明と話をすることになった。
加害者3人はそれまで居残りとなった。
次回 → 第252話 言い分