第252話 言い分 | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第252話 言い分

黒井、近場、沢井の3人の保護者は簡単につかまり、そうそうに学校に集まった。
校長室で行った。1学年の教員は全員参加した。管理職はいない。

話はすべて有田が行った。
被害者の訴えを沢井は認めたが、黒井と近場は認めなかったことも強調した。



話を終えると、沢井の保護者が口を開いた。よく見ると、学級懇談会でいの一番に秦に文句をつけた保護者だった。
『そういう言い方ですと、これはいじめになるんですか?』
「そう捉えています」と有田は言った。

『そうやって、何でもかんでもいじめ、いじめって言うから、世の中おかしくなるんじゃないですか?
子どもたち同士の喧嘩でしょ? 子どもたち同士に話をさせないで大人がいじめって喚くからどんどんこじれるんじゃないんですか?』
沢井母は不機嫌に話す。

「ですけど、子どもたち同士でもやり過ぎはいけないでしょ。その仲裁も必要ですし、そのためにわれわれがいるんですよ」有田は柔らかくしゃべる。
『うちには上が二人おり、他の学校に行かせてますけど、こんなことでいちいち呼び出しなんてありませんよ。そういう風に言うのでしたら、担任の先生が学級で無茶苦茶言っているのもいいんですか?』

ピクッと秦の顔に怒りが走る。沢井は続ける。
『そもそもこんな小さな学校に行かせるつもりはなかったんですよ。この子が言うから仕方なく行かせたのが、大失敗!』

「だったら、こさせんかったらいいでしょ。そもそも問題を起こすからいけないんでしょが! 学校のせいじゃなく、親の責任でしょうが!おかしいでしょ!」プチンと切れた秦が怒りに任せて言い放った。

有田と赤井はあちゃー・・・という顔をした。
ごもっとも意見であるが、保護者に言うべきかは別問題だ。




『ふん! わかりました。この件は謝りと弁償をすればいいわけですね。もう話は終わりましたね。帰ります。』当然ながら沢井母は怒っている。子どもの方に向くと
『あんたもわかったね。謝るのはしなさい。だけどね、これが担任の本性よ。あんたが家で言ってる通りだわ。だから、この人の言うことは聞かなくてもいいわ。あんたの好きにしなさい』
沢井母は子どもを連れて帰っていった。

それを見届けた近場母は「なら、私らも帰るか」と席を立ち帰って行った。
沢井家をかえしてしまったので、止める余地はなかった。

※ 指導のポイント


(1)感情に任せてしゃべらない

保護者に言質をあたえてしまうと危険。
だからこそ、感情に任せて発言するのは危険である。
長くうまくやって行かなければいけないので、ある程度の我慢も必要である。

次回 → 第253話 先はやっぱり暗い