第253話 先はやっぱり暗い | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第253話 先はやっぱり暗い

「先生、そりゃまずいこと言ったよね。」校長は苦々しくそう言った。
3人の保護者と生徒が帰ったあと、まずいことになったと管理職に報告した。

『いや、でも! 向こうがここに来たくなかったって、言うんですよ。なら、来るなって思うじゃないですか。それに、今日の懇談会でもずっと文句言ってたし。腹が立つんですよ。何様か!』
と秦は怒っている。この様子に有田も赤井も呆れ顔。



「先生ね、とにかく保護者は好きなこと言うよ。でも、そう、でもなんだよ。こちらが好き勝手言えば関係がダメになって、その方がもっとうまくいかなくなるよ」
校長は諭すように言うが
『でも、そうやって言いたいことも言わないから、ああやって勘違いした保護者が出てくるんでしょ。何で言ったらいけないのか私にはさっぱりわかりません。私はサンドバックじゃないっての』

秦は反省よりも怒りだった。
「あのね・・・」と校長が喋り始めたところを遮るように
『はいはい、わかりました。どうせ私が悪いんでしょ。わかりましたから。反省しましたから。まだ話がありますか?勤務時間外だから帰りたいんですけど』

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「あれは反省がないし、また繰り返すよね」と秦が帰ったあとに有田は赤井に話しかけた。
『間違いありませんよ。自分のやりたいことばっかり主張して、こっちの話は一切聞かないですから』
「それで生徒とかとうまくいけば、いいんだけど、うまくいかないと来てる。。。どうしたもんかね」

と議論しているところに土井がやってきていった。
「ようやく話がつながってんですが、先生たちが生徒指導している時に、秦先生は家庭科準備室にずっといたって知ってました。」
『えっ!? 保護者と話していたって、聞きましたけど。まさか』

「私、たまたま見たんですけど、家庭科準備室から一人で出てきましたし、保護者なんていなかったですよ。さっき教頭に確認したら、家庭科準備室は電気がついてなかったし、校内のどこでも秦先生を見てないって。保護者と対応するなら電気はつけてるでしょうし、準備室で話をしないでしょう」
土井の口調は完全に許せないという論調だ。

「まあ・・・こういったら、何だけど。秦先生って、生徒指導をしようとしないんですよ。今日だってすべてわしがしゃべたしね。生徒指導から逃げているのかもしれんね」と有田。
もしも、彼女が生徒指導がしたくなくて逃げていたとしたら・・・赤井は考えるのも嫌だった。



『ああやって、都合が悪くなったら「どうせ私が悪いんでしょ」って逃げて、機嫌が悪いと逆ギレして、人の話を真剣に聞けなくて・・・子どもとも保護者とも、うまくいくわけないですよね』赤井がしみじみ言う。
「だから、採用された学校でうまくいかなかったのよ。ああやって反省もないし、人のせいだし。そのうち、うまくいかないのは誰かのせいって言い始めますよ。去年と同じで」
土井が正義に燃えながら言った。自分の情報網を使って秦の勤務がどうだったかを調べたようだった。


「本当にどうしたらいいですかね」
赤井は学年主任であり、教員のフォロー役である。相手が秦となると・・・。

※ 指導のポイント


(1)言い訳は成長を止める

何か問題が起こるのは自分の力不足だ。ここに責任を求めないかぎり、物事は解決せず、先送りされ場当たり的になってしまう。
言い訳を言いたくなったら、グッと我慢するくらいがちょうどいい。
言い訳をしても解決できないから

成長しないかぎり、あなたも生徒も保護者も、そして同僚さえも不幸にしてしまう。
次回 → 第254話 謝りの会