第262話 給食指導・改3 | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第262話 給食指導・改3

荒川が出て行ったあと、合掌をして給食を生徒に食べさせ始め、荻原は保健室に寄った。
当然、荒川はいるはずもなく、職員室にいき、土井にかいつまんで状況を説明し、荒川がどこにいるかを探してもらえるようにお願いした。
自分は給食指導があるからと、教室に戻る。

なお、土井は河野と楽しそうにのんびりと給食を食べている最中だった。
(上と下では時間の流れが違うんだな。指導の手伝いもせず、自分は文句言うだけか、副担って気楽なもんだよな)そう思わずにはいられなかった。



「先生は先のことを何も考えてないからですよ」
島田はそう言っていた。
「何かが起こった瞬間に、どこを落とし所にするかを考えながら、対応するんですよ。そうすれば、振れないし、落ち着いて対応できて丸く収まりますよ」

確かに言われるとおりだった。ここまでの展開は島田の言うとおりだった。
そして、自分ではやる自信がないから、昨日は予行演習を島田に手伝ってもらっていた。それが完全に活きた。
(臨機応変っていわれるけど、本当にそうだな。あの瞬間に指導できないといけないんよな)

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荻原が教室に戻ってみると、生徒は予想以上にまともに給食を食べていた。
年度初めの効果と先ほどの指導の効果があったのかもしれない。
(たまに思いっきり怒るのも効果があるもんだな)



給食終了後、荻原は当番表を確認しながら後片付けの指示を出していた。
去年までは当番表のようなものを使っておらず、こうやって指示をだすこともなかった。
振り返ってみれば、給食当番の仕事は生徒の仕事と決めつけて、自分は何にもしようとしなかった。

こういう関わり方では生徒がうまく機能しない時にはどうしようもなくなる。
生徒の責任と逃げていただけだった。それは教師の仕事ではない。
年数を経てきたのもあり、こういうところでふいに発見があった。

その後、職員室に降りると土井から、荒川が保健室にいると報告を受けた。
どうやら保健室で愚痴っているらしいが、そのことで土井からの非難は何もなかった。むしろ、荻原の指導を肯定的に捉えている感じがした。
意外だった。

このことについて、島田に意見を求めると
「土井先生も、何でもかんでも文句が言いたいわけではないですよ。先生が必要な指導をしたと思っているから、何も言わないんでしょう。どう考えても、これは荒川が悪いですから。こうやって負荷を生徒に与えていかないと、生徒は成長しませんよ。筋肉みたいなものです。使わなければ、どんどん落ちていくだけです」


※ 指導のポイント


(1)鍛えるから伸びる

「自分は厳しくしたくないんで」という教師がいる。
それは言い方を変えると「指導して生徒に嫌われるのが嫌だからやらない」と公言しているようにしか思えない。
そうしていいのは、自分の子どもにだけ。教師の仕事はご機嫌取りではない。


生徒に適切な負荷を与えなけれど、成長しない。
このことをきちんと理解している必要がある。
友達感覚で運営する担任もいるが、そういう人はここを忘れがち。

クラブでもそう。鍛えなければうまくはならない。そこには辛いことがたくさんある。
指導者はそのためには、心を鬼にする必要もある
次回 → 第263話 給食指導・改4