第263話 給食指導・改4 | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第263話 給食指導・改4

その後、荒川は午後の授業にはちゃんと出たようだ。荻原からすれば、どうでもよかった。
帰りのSHR。
当然ながら、給食のことがメニューに入っている。



給食当番は3回合格だと次の当番に交代する。生徒が気になっているのは、合否ではなくて荒川についてコメントするかである。
『今日の給食当番はよくがんばってくれました。役割分担をきちんとして、一人ひとりが目的を理解してやってました。すごくよかった。』
パッと生徒の表情が明るくなる。

島田から教えてもらった原則の通り、ほめることを実践。
『でも、こういうことがあった。ある当番が自分や仲の良い人の分だけを大盛りにしていた。それに気づいたから、注意したんだけど、本人は違うと否定した。でも、どう見ても明らかに量が違うし、特定の人の分だけは大盛りでさっさと配ってあった。どう考えてもおかしい』

「それがたまたまだったらどうするん? 決めつけじゃん」
発言したのは山本。荒川と仲がよく小学校時代からの悪仲間だ。

『決めつけかもしれないけど、普通起こらない。そもそも給食当番はそういう風に疑われるようなことをしないように、同じように盛り付けるべきでしょ』
「今日がたまたまだったらどうするんかって。決めつけよんだろ? 量の多いとかって絶対あるし」

『なら、山本の給食がたまたま少なかったらどうする? 嫌だろ?』
「そんなことないし。あ~たまたまかって思うだけなんじゃない?」

『じゃあ、明日の給食が楽しみだね。たまたま少ないかもしれないね』
「はあ、なんやそれ。そうやってわざと減らす気だろ!」

『でもさ、さっき自分が言ってたじゃん。う~たまたまかって。明日そうなってもたまたまなんじゃないかね』
「こうやっていってる時点でたまたまじゃないし! そんなんだめだし」



『だからさ、そういうことがあったら嫌だろ? これが起きたんで、今日』
山本は都合が悪くなったのか黙りこくった。
荻原は続ける。


『問題なのは、こういうことをしたのが複数人いるってことだし、頼んだ奴もいるし、見て見ぬふりした人間もいる。不正が行われる環境を自分たちで作っていること。あってはならない! 絶対に!
今日の分は追及しないけど、次は追及する。

今日の給食当番はがんばってくれたけど、合格にはできない。不正があったから、ペナルティーで1回増やす。』


生徒からは「ええ~~」と声が上がったがそれ以上の反論はなかった。


(完全勝利!!)
荻原は自分が誇らしかった。教師になってから、これほどスッとしたことはない。
このSHRの話も島田と考え、リハーサルをしていたおかげであった。

だから、昨日は二人とも、夜遅くまで学校に残っていた。
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