第265話 給食指導・改6 | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第265話 給食指導・改6

給食のおかずを両手に持つ荻原と山本の睨み合いが少しの間続いた。
山本は立ち上がり、「返せや!」とおかずに手を伸ばすが、荻原が交わす。
何度か繰り返された後、

「ぶっころすぞ!! このデブが!!!」

山本が叫んだ。



教室は一気に静寂に包まれ、異様な緊張感が走った。
教師に面と向かって「殺す」発言をする生徒はなかなかいない。
しかも、山本はキレている。
生徒は何が起こるのか、ドキドキしながら見守る。

ただし、荒川や甲本、五木は楽しそうにニヤニヤしている。
この3人の生徒の興味は問題が起こるかだ。
起これば面白いし、教師の力量も測定する。

下だと判断すれば、徹底的にバカにしようと考えている。
まあ、現段階で、当然、荻原は最下層の教師と生徒たちに認識されている。



山本は荻原の胸ぐらを掴んだ。
荻原は睨み返すが、何も言わなかった。ただ相手を見据えた。

しばらくその状態が続き『離せよ』と荻原が言うと山本は手を離した。
荻原から挑発の言葉があれば、殴っていただろうがなく、怒りはピークアウトした。
が、怒りが収まるわけもなく、全員が見ている中での出来事で、中途半端な自分の振る舞いに居心地の悪さを感じ、イスを蹴り上げ、教室から出て行った。

お得意の「保健室へ行く」という逃げだった。
去年もそうだったのだが、こうした問題行動のある生徒は何か都合の悪いことがあれば、保健室へ逃げるのだった。


「生徒を挑発したら絶対にだめ」と島田は言っていた。
「不必要に暴力を振るわせても、何の効果もないです。管理職が警察にだすとか、余計に事態が大きくなるだけですよ」
ので、荻原は黙っていた。

正直言うと、ビビっていた。肝が冷えた、というのはこのことか・・・。
次回 → 第266話 保健室の事情