第268話 2学年に報告すると | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第268話 2学年に報告すると

山本母からの電話は要するに、荻原が給食を取り上げたから子どもが給食を食べられなかった、これは体罰である。ということだった。
電話では埒があかないので、学校に来てくれることになった。

山本母は去年は山本が携帯電話を授業中にいじっていた件での指導でトラブルになったので有名だった。
去年の担任、己斐が病休にはいるきっかけにもなった。



荻原は胃が重たくなり、嫌な気持ちでいっぱいだった。
対応を間違えると大変なことになる。
すぐに学年に報告した。

「給食中に指導したあとは、どうしたんですか?」土井が荻原に聞く。
『そのあと、保健室に行かせて、あとはそのままでした。』

「先生、その後フォローせんといけんのんじゃないの?」
土井に突っ込まれて気がついた。
(そもそも、山本は5時間目も授業にでなかったし、かなり怒っていたのかも)


荻原は去年からの宿敵・山本を懲らしめたことで、舞い上がっていたのだった。
いつも問題を起こすからたまにはいいだろうと、島田に言われていたフォローをしていなかった。

保健室でどうだったかのかの情報もない



保健室の河野はもう帰っていた。
慌てて電話をかける。
「はい、もしもし」

荻原が用件を伝えると、途端に不機嫌になる。
「そんなの、知らんわ。先生のせいで保健室に来たのに、先生がそのあと一切対応しないなんておかしいでしょ。自分で考えたら?」と無碍に電話を切られた。

学年主任である川島の反応は
「先生が話を聞いてみてください」だけであった。
これを聞いて荻原は驚き
『いや、でも、先生もおってください。主任がいてくれるとありがたいですし、相手はクレーマーですよ』

「そもそも、山本と人間関係があるわけでもないし、担任の先生が聞くべきでしょ。それに、そもそも2クラスしかないのに、学年主任も何も関係ないでしょ。おれは主任なんてやりたくなかったし」
完全に逃げだった。川島の学級はうまくいっておらず、問題生徒との指導には首を出したくないようだ。

そして、「ちょっといい?」と話しかけてきたのは秦だった。
「おう、いいぞ!」と嬉しそうに川島は答え、秦と一緒に職員室を出て行った。
秦は多くの教員から総スカンを食っており、川島とだけと妙に仲良くしていた。


荻原は唖然とした。学年の生徒よりも、秦との用事の方が優先なのか・・・。
河野はさっさと帰り、手を貸してはくれず。
土井は主任の勝手な振る舞いにも何も言わず、生徒指導的なアドバイスもしてくれず、自分の仕事に入り込んでいた。

(なんだ・・・これは・・・これでも同じ学年団か・・・)そう思わずにはいられなかった。
次回 → 第269話 クレーマー母の登場