第269話 クレーマー母の登場 | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第269話 クレーマー母の登場

誰も助けてはくれない状況で、山本母が来校した。
荻原は内心びびりつつも、それを表に出さないように対応した

生徒指導室に入ると山本母が不機嫌そうにしゃべった。
「どういうことなんですか?」



荻原は給食の出来事を説明した。
ナフキンを引いてなかったこと、注意しても改善がなかったこと、そして本人がカッとなり、教室を出て行ったこと。
それを聞いて山本母は「そもそも、取り上げるからいけないんでしょ」
『ですから、ナフキンを引いてなかったんですよ』

「だから、給食を食べる権利を奪うのはおかしいでしょ。あなたにはそんな権限があるんですか?」
権限と言われると弱い。そもそもない。
『いや、でも。ナフキンを出す約束だから指導をしたんです』

「出さないと食べさせないと?」
『そうは言ってません。』

「でも、実際に取り上げて、給食を食べさせなくしましたよね。そして、この子は先生の指導のせいで5時間目の授業を受けることができなかったって言ってます。このことを説明してください」
荻原は困った。山本本人がどういう心理状況であったのか、情報が一切なかったからだ。
給食中に山本を成敗して、「ざまあみろ!」といい気になっており、その後、接触無しなのが悔やまれた。



『いや、まあ、、、指導の効果だったのかもしれません』
「どういう意味ですか? 先生がそうやって、うちの子だけをターゲットにするのも差別ですよね。他の子もナフキンがなかったようですが、知ってましたか?」

そんなことは知らない。胃がきゅ~っと痛くなる。
『すいません、そこまで把握できてませんでした。』

「こうした差別でうちの子が傷ついて、どうしてくれるんですか?」
『差別する気はありませんでした。すいませんでした。』

「それですむと思っているんですか? 言われたら謝るだけで、私に謝っても仕方ないでしょ。うちの子にきちんと謝ってください」
『はい、わかりました。謝罪させてもらいます』

荻原は深々と頭を下げた。自分はおかしいことはしていない・・・と思ってはいたが、どうしようもなかった。
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