第272話 保護者との関係の築き方 | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第272話 保護者との関係の築き方

「ところで、先生、保護者との関係をどんな風に考えてやってますか?」
島田が荻原に尋ねた。
『・・・? というと?』
「今回の件では、このままやっていたら、山本母の言いなりになってしまうわけでしょ。これって健全な関係ではないし、こちらの言いたいことも通らないから、山本家のためにもならないじゃないですか」

『そうですね』



「去年の話をすると、例えば、岡本がいるじゃないですか。先生と反りが合わなかった。あの子の母親にはどんな風に接したんですか?」
『岡本本人がおれのことを嫌っていたから、保護者も斜に構えてましたよ。だから、当り障りのないことしか言いませんでしたよ。
あっもちろん、きちんと言うべきことは言ってましたよ』

「で、その対応に関しては振り返ってみて思うところは何かありますか?」
『まあ、やっぱり岡本ともっとちゃんと話をしていればよかったですね』

「お母さんについては?」
『まあ、ああするしかないでしょ。岡本本人がこっちを向いてくれるようになったら、お母さんも態度を変えるでしょ』

「もしも、岡本本人が態度を変えなかったら、お母さんとの関係もダメなままですか?」
『あ・・・いや・・・』荻原は答えに詰まった。

「たしかに、本人との関係が改善したら、だいたい保護者との関係も改善されますよね。生徒との関係を改善しないなら、保護者とうまく繋がる方法を身につけないとうまくいきませんよ。
保護者とうまくやることで、生徒との関係が改善することもあるんですよ」
『なるほど!』



「先生にこんなことを言うのは申し訳ないですが。
岡本本人が言ってましたが、岡本母は先生に対していい印象は持ってなかったみたいです。というのも、もちろん、岡本本人との関係が悪かったのもありますが。

先生が、当り障りのないことしか言わず、本人が学校でどのように過ごしているとか、何を頑張っているとかも教えてくれず、先生が嫌っているのが伝わったそうですよ」

『いや、嫌っていたわけじゃなくて・・・』
「と言っても、相手が感じることですから」
荻原はうなだれた。

「先生が誰を嫌おうがどうでもいいですが、相手にそれを気づかれたら、この仕事はうまくいきませんよ。
保護者が大事なのは、我が子だけですよ。
担任が我が子を見てくれていない、嫌っているとわかれば、保護者も嫌でしょう

当り障りのない対応は確かに相手に言質も与えずに安全かもしれませんが、相手の信用は絶対に勝ち取れませんよ」


島田の言葉が響いた。確かに、岡本母からすれば、自分は怪しくて信用できない担任だったに違いない。

『じゃあ、どうすればよかったんですか? 岡本本人は俺に対して、いつも文句言っている中で』
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