第273話 保護者との関係の築き方2 | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第273話 保護者との関係の築き方2

「生徒との関係が悪いからといって、保護者との関係も悪くさせる必要はないじゃないですか。だから、保護者との関係をよくするためにはどうしたらいいですか? 先生なら、なんて言われたら嬉しいですか?」

荻原はしばらく考えてから言った。
『ほめられると嬉しいですね』
「だったら、それをやったらいいじゃないですか?」

『えっ!? 相手は俺に対してずっと文句を言っているんですよ?』



「確かに、生徒が文句を言っていたら腹が立ちますが、それに対して同じようにしていても仕方ありませんよ。」
『いや、でも、そうしたら、こっちがいつも割りを食うだけじゃないですか!!』
荻原は納得の行かない顔だ。

「だって、相手は子どもですよ。お金も自分では稼げないし、言っていることも支離滅裂」
『とは言っても、向こうのやり方は相当卑劣ですよ!』
荻原は生徒にかなりコケにされたのだろう。怒り始めた。

「それでも子どもですよ。先生も14歳の時は子どもだったじゃないですか。」
『向こうは子ども扱いするなって一人前なことを言うくせに、こういう時だけ、子どもっておかしいでしょ』

「自分勝手が通るから、子どもなんですよ」
荻原は憮然とした顔でようやく口を閉じた。

「この仕事をやっていれば腹が立つことはたくさんありますよ。でも、相手は子どもだと思えなければだめですよ。そもそも選んだらいけませんよ。
そうやって、同じ立場で考えるからうまくいかないし、子どもに振り回されるんです。
相手は子どもであり、商売道具ですよ。言い方は悪いけど。

友達でもなんでもありません。プロ意識を持ってくださいよ。だから、同じ次元で考えたらダメです」
そう言われても、荻原は納得してはいない。



「例えば、岡本の三者懇談会で、先生が、「岡本さんはいつも熱心にノートをとっていて、特に数学の授業では率先して発表をがんばってくれているようです。学級では、国語係の仕事をしっかりやってくれていて助かっています。連絡黒板に書く彼女の字はとても丁寧で読みやすいんですよ」とでもいったら、保護者は嬉しいでしょ」
『まあ、そうでしょうね』

「その場で聞いた岡本はどう考えますかね?」
『さあ、どうでしょうかね』
荻原は未だに岡本のことを嫌っているようだ。

「きっと喜ぶでしょう。表に出すかどうかはわかりませんが。先生がそういう一面を見てくれていたことは知らなかったでしょう。
そして、そうやって評価してくれる相手に対して、文句を言い続けますかね?」
『まあ、、、言うんじゃないですかね?』

「先生はよっぽど岡本アレルギーなんですね」
『島田先生が、去年の岡本を知らないからですよ。あれは簡単に済ませられるレベルの問題ではありませんよ』

「それはひとまず、別として。
ほめるときに、嘘じゃなくて本気で、具体的にほめることが必要ですよ。だから、効果がある。
本人が頑張っていることをほめるとさらに効果が高い。

生活ノートとか、生徒との話、顧問の先生の話などから、情報を集めておいて、自分で本人の頑張りの証拠集めをするんですよ。
そうしてどこかでほめる。

相手は自分に関心を持っている相手には好意を抱きやすいですから、それですよ。担任しているんだから、好き・嫌いの次元で判断していたらだめです。
それにそもそも全員に好かれるわけないです。
クラスの2割ぐらいはやっぱり反感を買ったり、嫌われたり、どうでもいいと思われたりしますよ」

『先生もそうなんですか?』
「そりゃそうですよ。合う・合わないは当然ありますよ」
次回 → 第274話 哲学