第274話 哲学 | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第274話 哲学

『そうやって、保護者の前でほめたら全てうまくいくんですか? 今日の山本の件も』
「今日のはうまくいかないでしょうね」

『だったら、意味ないじゃん』
「ほめるのは長期的な関係を築いていくためですよ。人間関係で短期的な関係はすぐには築くような魔法はありませんよ。先生もそうでしょ?
今日あった人が「儲け話がある」と言われても信用しないでしょ?」

そりゃそうだ。



「今日必要なことを強いて言うなら、教育哲学ですよ。自分なりの哲学」
『ふーん、哲学ね。』

「結局のところ、生徒に押し切られる教師って、哲学がないんですよ。
哲学というと抽象的ですが、要は基準ですよ。
いい・悪い、OK・BAD、というような線引きの基準。

哲学があるから、生徒の行動や発言に良し悪しがつけられる。
なかった、どうなりますか?」

『たぶん、適当に判断するんだろうね』

「そう。結局、気分や生徒の機嫌で決めてしまう。
だから、川島先生は生徒が体育の授業で「ドッチボールがしたい!」と詰め寄られちゃうとシラバスを無視して、ドッチボールをやってますよね。結果的に、生徒の言い分が通って、なぜかいつも球技をしてます。」

『たしかに! 体育って気楽でいいよね! 5教科は学力ってすぐに言われるから大変なのに。向こうは遊びでいいもんな』



「こうした哲学があれば、生徒も読み取りますから、生徒は自然とそれにあった行動をしていきますよ」
『それなのに、生徒が好き勝手なことばかりするんだけど?』

島田は驚いた。荻原は自分は教育哲学を持ってやっていると主張しているのだが、島田からすれば皆無だと判断してたからだ。

「先生は・・・どういう哲学なんですか」
『他人に迷惑をかけるなとか、嫌がらせをしてはいけないとか、たくさんあるよ』
当然な風に言ってくる

島田はしばらく考えた。
「じゃあ、去年、山中のいじめがあった時も、岡本の件の時も、その哲学は発揮されましたか?」
『当然指導しましたよ』

そして、その結果が、学級崩壊だった。
次回 → 第275話 荻原の1番の問題