第278話 荻原の思うところ | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第278話 荻原の思うところ

『まあ・・・なんというか・・・』
荻原は口を開きながら言いよどんだ。



『言いにくいけど、許せる・許せないで考えた時に、誰が嫌がらせをされたとして「言い返せばいいじゃん」って思ってしまうんよね。それに、指導とかでも、「何でお前らが起こした問題の尻拭いをこちらがせにゃいけんのんか」って思う自分がいる。
だって、子どもって言っても、あれだけ偉そうなことをするじゃん。

許せれんよ。
こっちがそのことでどれだけ苦しんで、どれだけ悩んだことか。こっちは生徒に好き放題され振り回されても、誰も助けてくれないし』

荻原の本音だった。
荻原自身は教員になってからずっと、生徒にやり込められているので、積もりに積もった恨みはかなりのものだった。それが伺い知れた。
うまくいってない教員の心境なのだろう。

「もしも、そうやって恨みばかりが溜まって、生徒に不誠実なことをやるんだったら、教員なんてやめた方がいいですよ」

島田も正直に言った。
荻原の考えでは、教師はうまくいかないし、生徒も不幸にしてしまう。
教師は言い訳をして、指導から逃れてはいけない。




『いや、わかっているんよ。わかってる。』

荻原は深呼吸をした。

『俺がそうやって言い訳して教師をいい加減にやってきたってことなんよ。覚悟が足りんかった。だから、生徒にも舐められてしまった。何でも、簡単にいくと思ったら全然違った。
本気でやらないといけなかった。本気で生徒と向かい合わないといけなかった。
現実と向き合わないといけなかった。』

何がこう決意させたのかは島田には不明だったが、荻原の中で覚悟が決まったらしい。
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