第296話 なぜ、、、そうなるのか | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第296話 なぜ、、、そうなるのか

荻原は島田に、中村のことを相談した。

『保護者と約束したことを守らないから、やっぱりクレームになりますよね』島田はしみじみと言った。
「申し訳ない・・・」返す言葉がなかった。
『ぼくにいっても仕方ないですよ。結局、不幸にしている生徒のことを考えないと』

荻原は今になって、自分のことしか考えていないことを恥じた。



うまくいかないときは落ち込む。自分はちゃんとやっている。
言い訳をして、自分のことばかり、自分しか見ていない。

それはプロではない。

何度同じことを繰り返すのだろう。

『学年の協力は期待できそうにないなら、ぼくも一緒に指導しますよ』
島田の言葉は天からの言葉だった。
これ以上のものはない。島田がいればうまくいく。


・・・・


その日の放課後、問題の生徒たちを呼び出した。
開口一番、かますのかと期待していた荻原だったが、島田の口調は穏やかだった。

『体育の時間で何かあったの?』




生徒たちが言うのは、中村が体育の時間に何もしようとせずにさぼろうとしているのが許せないとのことだった。
中村自身、「体育が面倒だから体操服持ってこなかった」と周囲に話しているようだ。
授業担の川島には「足が痛いから」と嘘をついている。

という形で、中村は嫌なことからどんどん逃げて、言い訳を言って、嘘をついているようだった。
それを聞いて腹を立て嫌がらせを行ったようだ。

荻原はそのことを聞いて、中村の身勝手さと、母が語ったのは都合のいい曲解した話ではないかと腹が立った。
やられても仕方ないとも。

生徒の話に対して島田は
『腹の立つのはわかるよ。わかるけど、、、君たちがだからといって暴力を振るっていいわけじゃないでしょ。腹が立つのは体育の授業を真面目にしようとした証だと思う。だけど、やり方を間違えたら、君たちが悪者になる。それでいい??』

荻原の予想に反して、生徒たちは島田の言葉に納得し、翌日、中村に謝罪することを約束した。
これには流石に驚きを隠せなかった。

生徒たちが帰したあとで、荻原が島田に言った。
「なんで、自分が言ったらだめなのに、島田先生が言ったらあんなに生徒はおとなしく話を聞いて納得するん?これってひどくない?というか差別だよ」
島田は少し苦笑いを浮かべながら『人間関係があるからですよ』と言った。

「出た、いつもの人間関係。それを自分ができていないって言いたいんでしょ? 毎日放課後に個別面談したり、生徒指導をしたりしてるし!」
『それで人間関係はできましたか?』

返答に困ってしまった。
元はと言えば、島田にやれと言われてやっているだけだったから。目的が面談することに変わっていた。