第304話 どうしてそうなったのか? | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第304話 どうしてそうなったのか?

帰りのSHR。昼に河野と約束したとおりに、給食の件を言った。
生徒の反応は悪くなく、向井が「絶対にそうやれよ!残したのは俺が食べるから!」とまで発言した。
向井は向井で何か燃えるものがあるらしい。

「3年は無理だけど、1,2年で1位を取ろうぜ!」と向井が言った。ここにあるらしい。
いつもは荻原の反対をするばかりの向井が協力的なことに驚いた。
(何か取り組む目標があると違うもんなんだな・・・)

そして、、、、ハッとした・・・。

(いつもは、、、俺がその標的なだけか。。。)



河野には帰りのSHRのことを報告した。
「いいじゃん、いいじゃん。先生頑張ってるね。その調子でやってね。私も手伝いに行くよ」と河野は上機嫌だった。

荻原はこの反応にこれまた驚いた。
自分が悪趣味なドッキリにかけられていて、どこかの瞬間で一気に奈落の底に落とされるのではないかとさえ思った。
こんなに優しい河野は初めてだった。

いつもいつも、文句を言って、けなして、無理な注文をつきつけてくるだけだった。

あまりの不可解ぶりに、島田に相談した。




「先生がきちんとほうれんそう(報告・連絡・相談)をやって、もらったアドバイスを実行しているからじゃないですかね。
それと先生が本気で取り組んでくれて、保健委員も喜んでいて、それを河野先生に言っているとか。」
『ああ、、、なるほど。そんなもので、そんなに急に態度が変わるものなん?』

「だって、先生は毎回毎回、『はい』『わかりました』『すいません』と不満顔で言って、あとはスルーしているだけだったじゃないですか。報告も何もしないし、意見も聞かない。お前の事嫌いだ!って態度で接していたじゃないですか」
『ええ~~っ、、、いや、そんなことないって、、、』

「でも、嫌いだったでしょ?」
『そう言われると、、、』返す言葉はない。そのとおりだから。

「それがきちんと露骨に態度にで出ましたよ。そりゃ、河野先生も怒るでしょ」
『そんな、、、態度に出すとか、そんなつもりはなかったよ』

「つもりがあろうとなかろうと、相手の話も聞かない、相談もしないってことは、そういうことですよ。先生が言っているのはただの言い訳。言い訳を言っても、河野先生にやった仕打ちは変わりませんよ」

なるほどと思った。河野先生のことはたしかに嫌いだった。
言い訳をして自分を正当化して、相手を非難していた。
が、実際には喧嘩を売っていたのは自分だったのかもしれない。

それと、、、不思議なもので、あれだけ嫌っていた河野のことを、ここ数日の関わりで好意的なものに変わっていたことだった。

「あと、河野先生はああ見えても(?)、生徒のことを心配しているんですよ。それに今回の初めての取り組みも不安に思っているし、成功させたいとも思っているんですよ。だから、協力してくれる人がうれしいもんですよ」