第309話 完食週間終わる | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第309話 完食週間終わる

「今日はご飯抜いてきた」『おれも!!』と2年1組の生徒は朝からウキウキしていた。もちろん、男子生徒中心ではあったが。
今日は給食の完食週間で、ご飯を完食しようと決めた日だった。

学級は落ち着いたわけではなく、授業では「やりにくい」「私語が多い」と散々な状況だった。
だけども「今日は食べきる」ということに意識が集中し、活気があるのが不思議だった。



給食の配膳はいつもより早く終わった。
「残すんなら最初に残せよ!残さなかった分は絶対食べろよ!!」と向井。
残されたご飯は結構な量だった。

そして、どんどん男子のご飯が山盛りになっていく。
担任の荻原のご飯も山盛り。

荻原は最後は自分が帳尻をなんとしても合わせるという気持ちだった。
生徒が意気込んでいるので、なんとしても成功させたかった。

ご飯の食缶は空になった。そして、生徒の手で食缶の蓋が閉じられる。
ここから勝負だった。




翌日の給食放送。
じっと聞き入る生徒たち。

「2年1組、すべて完食です」

わああぁぁーーと歓声が上がった。
生徒たちはこの放送が聞きたかったのだ。

ご飯を完食するのはかなり厳しかったが、なんとかやり遂げた。
だめだめな2年1組が世間的にも認められたような気がした。

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完食週間が終わった。
3年生は1組、2組ともにすべて完食という圧巻の記録だった。
1・2年では、パンの日に完食はあったものの、ご飯の日に完食できたのは2年1組だけだった。

荻原にとって、当初は全く意味のない取り組みで、担任を苦しませるだけのものだった。
河野の協力を得て、その取り組みは意味あるものに変わっていった。
何も感じていない生徒たちは、取り組みを意義あるものと認識し、楽しみながらできた。

クラスにまとまりを感じたり、学校生活がちょっと落ち着いたり、一体感や達成感を味わうことができたのだった。
自分1人がどれだけ頑張ったとしても、どれだけいい言葉を言ったとしても、できなかったことだった。

一生懸命にやることの大切を見た気がしたし、自分がどれだけこういうものから逃げてきたのかがわかった。
河野が最後まで協力してくれたことで、どういう風に取り組んでいったらいいかのイメージも湧いた。

そう、、、イメージがなかったんだ。この差は大きい。
そのために、誰かの力を借りるんだ。

3年生は今回の取り組みで何を得たんだろう。毎日完食するのはどんな取り組みをして、どんな気持ちだったのだろう