第312話 反面教師 | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第312話 反面教師

川島の発言に呆れる土井と河野。

川島という男は50近くになるのだが、ずっとこの調子でやってきていた。
言いたいことは言うのだが、周囲の話は聞かず、改善もしない。
うまくいかない確率のほうが高く、学級崩壊ももちろん経験している。

川島の転勤がわかったときに、神無月の教員たちは「役立たずがやってくる」と嘆いたものだった。
それが現実となっている。



荻原は、川島という悪い見本がいるからこそ「ああなってはいけない」と思うことができた。
去年は平川という抜群の担任がいたから、卑屈になっていただけだった。

(ずっとずっと、、、生徒から馬鹿にされ、担任もうまくいかず、学級も授業も崩壊させるなんて嫌だ。職員室で孤立して何のために生きているのかわからない教員人生なんてしたくない。川島先生は、、、ただ家庭に、、、お金だけを入れているロボットでしかないんじゃないかな。
学校でもこんな調子だから、きっと家族にもバカにされているんだろうな。。。家族の話を聞いたこともないし)

勝手な想像が膨らんでいく。

(ただ、、、どうしたらいい? わからない)

そう、荻原はどうにかしたいがわからないのだ。なのに、周囲は責めてくるから、つい川島のように反発している。
しかしながら、川島の悪い見本を見てしまったので、同じ轍を踏みたくはないし、川島になりたくない。
給食だったうまくいった。授業だってうまくいかせたい。




「あの、、、すいませんが、、、。ぼくも授業はどうにかしたいんですが、、、どうしたらいいかわからないんです・・・。着ベルをさせるにしても、声はかけるんですが、、、生徒が座るかと言えば座らなくて・・・だから、どうしたらいいのかなと困ってます」
荻原は正直に言った。

土井は「教室には早く言って3分前くらいから呼びかけをするとか、みんなで行動しないとだめかもね」と。
河野は「それなら生徒指導部で話をして、委員会の動きにしようか」と。

荻原に攻撃の手が来るかと思って身構えたが不思議とそうならなかった。
荻原は、土井と河野に受け入れられているようで、今までのような女性vs男性の構図ではなく、川島が暴走しているだけとなっていた。

・忘れ物は家庭に連絡をする
・着ベルを守らせるために教員は3分前には教室に行く
・体育の授業で見学をする場合は保護者に一筆書いてもらう

ということになった。





学年会と言っても職員室の後ろでやっている。

話が聞こえたか、平川が口を挟んだ。
『私ね、いっつも不思議なんだけど、体育で見学している生徒がなぜか放課後にクラブに出ているのよね。あれってどういうこと?」

これに対して川島は「さあ。体調が良くなったのかもしれませんね」
『まっさか!そんなことないに決まってるでしょ。そもそも男子がお腹が痛くて体育休むなんてないし。あーーー気持ち悪っ。
体育を休むくらいの体調だったり、体操服忘れなら、放課後のクラブはなしで帰らせるようにしようよ
絶対おかしいし』

「まああ、、、たしかに」
『じゃあ、決まり。
ところで、川島くんは誰が体育を休んだとか記録している?』

「いやあ、、、まああ、、、」
『えっ、どっち?』

「してないかもしれません」
『そこよ、そこ。まず体育でしっかり調べて、担任や顧問に即報告。そうしてクラブに出させないようにしないと』

川島はここには異を唱えなかった。自分が責められているわけではないと理解したからかもしれない。

・体育を休んだ生徒は放課後のクラブに参加できない

新しい項目が加わった。