第313話 着ベルの取り組み | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第313話 着ベルの取り組み

・体育を休んだ生徒は放課後のクラブに参加できない

たったこれだけだったが、劇的な効果を生んだ。
体育の授業を休んで遊ぶようないい加減な生徒たちは放課後のクラブ活動に参加したかったのだ。
放課後のクラブがうまく機能しているかどうかは別の問題ではあるが。

荻原の授業改善も始まった。



着ベルを守らせるとは、チャイムが鳴った時に生徒は自分の机にすでについている状態を指す。
着席が先で、チャイムが後。

教職員全員に「3分前には教室に」「授業が空いている先生は各階に」という取り組みが始まった。
委員会の動きは、教員が動きをとってからということになった。
というのも、生徒の負担ばかりではうまくいかないし、そもそも今の状況できちんと全員が動くという保障がなかった。

この3分前はけっこうきつかった。
生徒になんて会いたくない。
ギリギリまで職員室でいたい。

ぶっちゃけて言えば、授業始まりのあのだらだらした時間によって、50分の授業が消化されるのは案外好きだった。

「おーい、座れよ!」と声をかけても、『はっ?まだ時間あるし』という声が返ってくる。
もちろんのこと、うまくいかない。
ただ、土井や河野がやってくるとうまくいくのが不思議だった。

これを毎時間繰り返すのはなかなか大変だった。




悲鳴を上げたのは1年だった。
1年は佐々木(男)、秦(女)、赤井(主任、女)、有田(生徒指導部長、男)という布陣だが、有田が特別支援学級の担任であるということもあり、着ベルの運動には上がることができず、1、2組は崩壊しており、そこに有田が加わっても効果は見えてこなかった。

秦は「はああ、めんどくさ。なんで私がいちいちやらないといけないのか意味不明」と職員室で川島に大きな声で愚痴っていた。
川島は川島で『こんなことを強制されるたらもう終わり』と相槌を打っていた。
秦は最近、川島に愚痴ることが多くなり、川島も秦に愚痴るようになっていた。

それを職員室でするので、他の教員には聞こえてきてしまうのを本人たちは理解しているのだろうか。


だらだらと過ごしたい生徒にとって、着ベルの習慣には相当な抵抗があり、秦は「家庭科教室の片付け」などと適当な理由をつけて教室へ上がるのをやめた。
川島も「体育の後片付けがあって忙しい」という理由をつけることが多くなった。