第316話 生徒ありき | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第316話 生徒ありき

『だったら言うけど、そもそも』と荻原は島田に言った。

『勉強って生徒自身のことでしょ?
なのに、生徒は真面目に勉強しないどころか邪魔をするし、おかしい。

それなのに、校長とか教育委員会は授業工夫しなさい!っていのうはおかしいでしょ。
生徒なんかこっちの言うことを聞いて、黙って授業受けておけばいいでしょ』
日頃から不満なことを島田にぶちまけた。



「それが仮に正しくても、生徒がそうしてくれる保障はないですからね。言ってみても仕方ないですよね」
『まあ、そうだけど、おかしいじゃん。こういうことは声を上げていくべきでしょ』

「だったら、先生は校長に『教材研究はどの授業も1時間しろ。予備実験は毎回しろ』って命令されたらどうしますか?」
『また、、、たとえ? 先生、例え話が好きよね』

「例え話を使わないと、自分だったらどうだろうかって考えがわからないからですよ。
教師って自分が嫌なことを生徒にはやったらダメだと思うんですよね」
『いやーー生徒は別だって。あいつらは半人前だし、大人のいう事聞いていればいいんだって』

「そう考えたら、教師は特別、生徒は下僕ってなりますし、生徒とはうまくいかないでしょ。
生徒はこう考えるだろう、っていうのが前提にないと人間関係は作れないですよ」




そう言われて、荻原はハッとした。
島田と話しているとハッとすることが多い。

島田の話は何度も言われていたことだったし、自分もそうしようとして学級経営に活かしていたつもりだった。
それを授業に活かす発想がなかった。
どれも根本は同じで、教師というものは生徒ありきで考えないといけなかった。

生徒ありきの思考習慣を身につけないと。
肝に銘じた。

このところの荻原の成長と周囲の態度の軟化はこうした学習しようという姿勢にあったのだった。