第288話 荻原の1週間 | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第288話 荻原の1週間

荻原は島田から教えを請い、実践して10日が過ぎた。
最悪な2年生の学級開きだったが、島田のおかげで生き延びることができていた。



10日間で成果が少しずつ出てきたと感じるのは、生徒が少しだけれども、自分のことを向いてくれるようになってきたこと。

今まであれば教室で話す内容の多くが生徒指導のことばかりで、「これがだめ」「ちゃんとしろ」「だらしがない」といった否定的な言葉かりだった。
この言葉はクラスの一部(荻原のクラスでは半数近くだったが)の生徒に向けた言葉であり、聞いてて嬉しいものでない。


今は「◯◯係がいい仕事をしてくれた」「時間を守れて嬉しい」「掃除でがんばってくれている」などほめることが主体にしている。
この言葉はクラスの半数以上(通常であれば)の生徒に向けた言葉であり、聞いてて嬉しいものだ。
生徒は尊敬していない荻原の言葉であったが、歓迎した。

ほめられるのはいいものだ。
自分が役に立っている実感がわき、クラスのために何かしようと自然と思えるようになるから。

多くの教員がほめることをしない・苦手としているので、生徒の自主性や自信が育ちにくい状況なのである。
荻原は、ほめることの大きな効果を感じていたし、自分でもほめるのも嬉しかった。





そうしてほめたとしても、不まじめな生徒たちがすぐによくはならなかったし、私語をしたり、ふざけたりした。
荻原はその度に苛立ちを感じたし、怒鳴ってやろうかと思ったが、我慢した。
何もせずに待つことにした。

朝読書の時でも、給食の配膳でも、掃除の時でも。

そして、静かにやり直しを命じた。


もちろん、生徒の反発もあったし、こっそりと逃亡する生徒もいた。
それをすべて追いかけた。

時間はかかった。
かかったけれども、やり通すことにした。


それも島田が指導には手を貸してくれたことが大きく、荻原自身が逃げるに逃げられないにした。
だけれども、息苦しいとか、嫌だという思いになることはなかった。

悩みを相談し、協力してくれる人がいるのは本当にありがたかった。
本来なら、こういうのが学年の役割なのだろうなと感じながら。

生徒も「自分は悪いことをしている」という認識もあり、保護者に知れたとしても味方してくれないのはわかっているので、指導は案外、うまくいった。
次回 → 第289話 役割分担の大事さを感じる