知識を暗記することが悪という風潮について | t-labo(中学校教師の支援サイト)

知識を暗記することが悪という風潮について

最近の教育は、「教え込みがいけない」というような風潮ですよね
知識理解ではなくて、それをどうやって活用するのか、どうやって考えるのか、といったことを重視しています

人間の寿命がどんどん伸びていき、社会の変化が早くなっているからこそ、すぐに廃れる知識ではなくてそれをどうやって活用していくかが問われているということです
この考え方に賛同をしますが、それとともに違和感も感じます



教え込めがいけないとかは、暗記がいけないとか、まあ、いろんなことを言われますよ
本当にそれがいけないのか、私は正直なところ疑問があります

根本的には「知識があるから活用できる」わけですよね
発想が面白いとか、考え方が柔軟とか言うのも、結局のところは「いろんな知識を持っている」からなんですよね
だって、知らないことは活用できないんですよ

私はこういうふうに考えるからは、やはり知識は大事だし、暗記することも大事だと思っています
この考え方が古いと言われたらそうなのかもしれませんが


そもそも、教員は無償で配布される「教科書で教えなさい」と言われるわけですよ
しかも、「学習指導要領に載っていないことは教えてはいけない」が原則なわけで、教える内容はかなりがんじがらめになっています
知識よりも活用が大事だということであれば、教えるべき教科書が知識よりも活用を重視したものにならないといけないのです



なのに、

そんな教科書になっていないでしょ?


それに学習内容を規定した学習指導要領にしても、そんな活用をするようなヒントが合わなくて、方針しか書いていないんです
だからね


誰も具体的にどうやって活用するのかを知らないんですよ


これは物事の本質ではないかなと思います
活用が大事っていうのは誰でも言えますよ
でもね、現実問題として誰がその活用の意味を理解していて、それが適切に教育現場に置いているかといえば、全くもってノーですよ

活用が大事といっても、その活用自体も「覚えてしまえば一緒」なんです
だって、中学校で教える内容なんて、ほとんどすべて知識ですよ
知識でカバーできるレベルですよ



それに、活用の前提は知識を覚えるところにあります
その知識をどうやって生徒に覚えさせるかが大事であり、その知識さえも覚えてくれないような生徒が学級の中にはたくさんいて、それをどうやって活用させますか?
つまり、活用をする授業をしようと思っても、活用に必要な知識を覚えてもらうのがなかなか困難であり、一斉授業をする時に大きな障壁になっているのです


つまり、

・各授業で何をすれば活用になるかがわからない
・活用する知識を覚えない生徒が多数いて一斉授業で成り立たない

というような問題も抱えていると思います
それをどうにかするのが教員だろうと言われるかもしれませんが、正直なところ難しいですよね
生徒の方はどうでもいいと考えているからこそ、難しいのです

だから、活用活用と文字面だけを並べるのではなくて、現実的に何が活用であるかを明確に示して欲しいし、それを1年間の授業でどうやって入れ込むのかを教科書レベルで実現するべきです
おそらく、活用というものは、1年間の授業で言えば数回程度行えれば十分なレベルではないかと思うし、既存の教科では対応しにくいものだと思います

むしろ、総合の時間のように各教科の縛りがないとか、成績の縛りがないとか、そういった時間でなければ、現状では難しいように思います
進路や受験というものの縛りがあるので、そういったものをすべて改定していかなければ無理でしょう
それと変える時には、大学や高校という上のレベルでの変更をしないと、無理なんです

大学受験や高校受験が変わるから、それに合わせる形で中学校が合わせていくという必然性がありますよね




それと、活用というのはその本人の考え方だと思うんですよね
物事に対して疑問を持って自分で考える癖がある生徒と何でも自分で考えずに疑問を持たない生徒では、活用の土台が全く違うわけで、生き方の問題になってくるのかなと思います

まあ、そんなこんなで、活用という話題はとてもレベルが高くて、公立の中学校現場では、その前段階である知識をどうやって身につけさせるかで手一杯なのかもしれませんね
私自身の見識が浅いからいけないのかもしれません

「そうやって知識のことばかり考えるから勉強が面白くないんだよ」と言われそうですが、理想と現実は違うものでもあり、そんな事いうのであれば具体的なものを用意して欲しいですね
言うだけは簡単ですよ
そんな人たちは現実の生徒を相手にしながら言って欲しいものです