第30話:反撃 | t-labo(中学校教師の支援サイト)

第30話:反撃

翌日、朝教室に上がるとろう下で神田につかまった。

『おい、お前、なんで酒井の家に電話するんや。あいつ怒られたじゃないか』

昨日の指導の件を言っているようだ



「あいつがみかん投げるからいけんのだろうが」
『いや、そうじゃなくて、電話するとか聞いてないし。何勝手にやっとんや』

「そもそも、酒井であって、神田は関係ないだろう?」
『あるし。じゃけ、言っとんじゃ。おれも関係者じゃ。おれの許可をとれや』

神田は何でもかんでもしゃしゃり出てくる。

*******

理科の荻原の授業で事件は起きる。
五木が持ってきたゴムボールを授業中に、甲本、向井、神田、五木たちで投げ合っていたのだ。

荻原の再三の注意にも関わらず、やめず。
「そのボールは渡しなさい」という指導にも従わなかった。
その後も、ボールは飛び続けたが、そのままだった。


佐々木は後から荻原から報告を受けて、落胆した。
(この人、役に立たんわ)自分のことを棚に上げていた



帰りのSHR。
「理科の授業中にボールを投げていたのは誰か言ってみ?」
誰も名乗り出ない。もう一度繰り返しても同じ。

佐々木は有田の言葉を思い出した。


(思いっきりやる場面だ。勝負しないといけん)


「甲本、向井、神田、五木で投げていたときいたで。違うんか?」
怒気を含んだ言葉にクラスは静かになった。

『別に投げてないし。渡しただけだし』神田が言う。
「それを投げったって言うんだろうが!」

『お前見たんか!? そうやって決め付けるからいけんのんだろうが!!』向井がキレ始めた。
「荻原先生の話を聞いた。ボールを触ったのは本当だろうが。
なんで、いちいちお前はキレとんや!」

『お前が見たか、どうか聞いとるんじゃ!!!」
ドンッと大きなことがした。向井が机を思いっきり殴った。
そして、立ち上がると、後ろに歩き出し、ガーンと思いっきりロッカーを蹴り、教室のドアを蹴り、教室から出て行った。

向井の退場もあり、佐々木の怒気も行き場を失い、
「もうやるな。ボールを持ってくるな」で終わった。


勤務時間後、学校から各家庭に電話を入れた。
こっちの方が効くと思ったのと、保護者にも指導をしてもらわないと行けないと思ったから。
神田、五木、向井は問題なかった「迷惑かけました。うちの子に言っておきます」

甲本母だけは違った。

「はい、わかりました。言っておきます。あと、誰かを傷つけた、物を盗ったならわかるけど、こんなことで電話をかけないもらえる?」

拒絶の反応だ。自分の子どものことなのに。

*******

当然、翌日、神田につかまる。
酒井、五木もいる。

『お前何しよんや。勝手に電話すんなや。怒られただろうが!』

五木はシニア野球をやっているのもあり、こっぴどく怒られたらしい。
酒井はみかんの件もあり、具合が悪かったようだ。

「お前らが話を聞かないし、反省がないから仕方がないだろう。これからも電話をするで」

佐々木はうれしかった。
指導の効果が出たからだ。

さあ、反撃開始だ。



※ 指導のポイント

(1)保護者電話は生徒を指導し、予告しておく

生徒との信頼関係を作る上では、きちんと本人が納得する指導をしてから、予告をしておく。
もしも、生徒が納得してなくて、家で保護者にそのことを言ったとしたらどうなるか。

保護者は子どもの言うことを信じるもの。
指導が通らずに、また生徒に指導しなくてはいけない。
なにより、学校の対応への不信感につながる。

次回 → 第31話:授業が苦痛